ブータン神秘的編


プロローグ/5月8日/5月9日



1999年5月8日(土)福岡〜ソウル〜バンコク


はいげんきですかー!MCきあです
韓国はいま、ブライダルシーズンなのか?? 福岡空港から約55分のフライトで降り立った キンポ空港のバンコク行き搭乗ロビーには、
「式を終えたてほやほや〜今からハネムーンでっす」
というフェロモンムンムンのペアルックカップルが ざっと見積もっても20組はいるではないか。 しかも行き先はみなタイなのね。…いちゃつきやがって。さすがアジアのラテン人種。 式用メイク濃いまま空港にくるんじゃないよ。と、ひとりちいさくなる日本人個人旅行者。

あまりアジアに目が向かなかった理由の一つに
「顔が似たような人に囲まれた街で、 異国情緒もなんもあったもんじゃなかろう」
という思い込みがある。今考えるとなんたる大間違い。 しかし。ここにきてブータン。 それは単純なことに「特命リサーチ200X」というTV番組を 見たことから始まった。
数の数え方が似ている、顔が異様に日本人と似ている、 民族衣装も似ている、などなどそれはなぜか?という特集だった。
「ホオ。似すぎているというのも面白いなあ」
それから、ブータンという国がなんとなくひっかかってはいたが、 行きたい国の優先順位からすると「今週のスポットライト!」レベルに とどまっていた。が、しかしワタシは今バンコク行きの 飛行機に乗り込んでいるではないか。 わたしのバッグパックの中には、ブータンで、そしてタイで 会わなければいけない人のための手紙と写真が入っている。 そう、今回は「はじめてのおつかい・アジア編」といった ところだ。 その細かい理由はまたおいおい語ることにしよう。

深夜、アジアのハブ空港、タイのドンムアン空港に到着。 ここで今回の旅の同行者、成田からノースで飛んできているはずの KEZANG CHODEN、通称「けさん」と合流せねばならない。 途方もなく長細いドンムアン、早々会えるわけはないと覚悟はして いましたが、やはり約束の到着ゲートにけさんの姿はない・・・。
まずい。いや、どうにかなるよねー。 と、そのときは結構のん気に構えていたので 近くのカウンターのお姉ちゃんに「明日早朝発ドゥルックエアのカウンターはどこですか?」と聞くとターミナル2の3階と教えてくれたのでさっそく向かう。 フフンフンフン。ここにくるでしょ、大丈夫ね。余裕のスキップ。


素人くさいロゴが素敵なDRUK AIR

・・・・・が。1時間待ってもこない。 わたしは焦ってまず搭乗口へ行ってみた。ちなみにその搭乗口は 皮肉にも今いる場所からイチバン遠い。 ハアハア、真夜中のドンムアン。荷物をしょって走るきあ。 まるでメロスな気分。当然だがここにもいない。オバカさんだから荷物をカートにいれて押せばいいことにちっとも気がつかなかった。そりゃあきついわ。


「けさ〜〜ん、どこぉ〜〜」
ドゥルックエアのチケットはけさんが持っているのだから 時間になれば会えるのは確実だが、不安で不安でたまらない。 何個所かインフォメーションに
「友達とはぐれたっす」
と泣きをいれたが暖簾に腕押し。
「大丈夫、デューティフリーにでもいるわよ。 アナタも4階にいってごらんなさいな。ステキな免税品があるわよ!
って、そんなセールストークはどうでもいいのですよお! ふとみると、インフォメにお兄ちゃんがいる。
「お兄ちゃん、あのね、友達とはぐれちゃったの。呼び出してくれたまへ」
と泣きをいれると、兄ちゃんカウンターにあるマイクを指差し、
「じゃあ自分で呼び出していいよ。大丈夫問題ないさ」
といっていきなりマイクの電源をいれるではないか。
「わお〜!ちょちょちょちょっとまって兄ちゃん!」
しかし兄ちゃんはニコニコわらって
「さあどうぞ」

自慢じゃないがこのセクシーハスキーボイス。 中学の頃、女子憧れの的、放送部のテストを受け、見事に落ちたさ。 そんな私のすました声が、深夜のドンムアンに響いた。しかも日本語。

この景色を見るまでまだ遠い
「**県からお越しのけさん様(※ちゃんと本名で呼び出したよ)、けさん様〜。 ターミナル2、3階のドゥルックエアーカウンターまで〜お越しください」
兄ちゃんに「繰り返しなさいっ」と脅され、泣く泣く放送を続け、 すぐにカウンターに向かうと、5分ほどでけさんが現れた。
「きあ〜〜〜〜会えた〜〜」
「け、けさーーん!どこにいたのよううう」
「到着ゲートのとこにいたけど、ハネムーナーばっかりで きあの姿がみえなかったよお」

・・・・ハネムーナーどもめ。こんなとこでアタクシの邪魔をしおってからに。 しょっぱなから疲れた深夜2時の再会。 ブータンまでの道のりはまだ遠いっぽい。



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