ブータン神秘的編


5月8日/5月9日/5月10日




1999年5月9日(日)バンコク〜カルカッタ〜パロ

一睡もしないまま、チェックインの時間。
おお。これがうわさのロイヤルブータンエア「ドゥルックエア」ですね。 定員70人前後の小さな飛行機は満席。スッチーはキレイだが無愛想。 ヨーロッパからきているらしい年配グループなどが目立つ。 その中にイエーイおれたちヒッピーでえすと体現している 白人、日本人もちらほら混ざっているのはカルカッタ経由だからだね。
しかし、ドゥルックエア(ブータンのフラッグキャリア)は格安航空券などないと聞いていたのに、 ヒッピー系のみなさん方(タイダイの布を巻き、タトゥ、頭くしゃくしゃ ヒゲぼうぼう、Tシャツよれよれ、荷物が極端にすくない)が 乗り込んでいるということは、たぶんバンコクで安く売られているのだ! かなり気になる。


機内は白い霧がふきだし夜ヒットきどり

激ウマッ!機内食ベスト1、タンドリーカレー

たとえば、 もしバンコク−カルカッタまでのドゥルック格安航空券を とれれば、ブータンの代理店にはカルカッタ−パロまでの航空券をアレンジしてもらって ブータンビザをとるようにすれば、渡航費用の節約になるはずだ。カルカッタ−パロのフライトは 1時間の距離だし。日本からカルカッタまでのフライトは自分で楽々予約できるしね。 ツウにいわせれば「何をいまさら」な意見なのかもしれな いけど。とまあ、こんなことをいろいろ考えながら機内を楽しむ。

さて、私の旅恒例の「現地の名前をつけてもらおうコーナー」(ドンドンパフパフ〜)では 隣の席の饒舌なブータニーズ、キンガさんにお願いした。 トルコではアイトゥルク(直訳でトルコの月)、 モロッコではハディジャ・タジン(日本的にいうとスキヤキ花子)、 さて、ブータンでは?その答えは カルマ・ヤンチンである。 ブータニーズに名字はない。 上の名前のカからンまですべてファーストネーム。 意味は「カルマは星、ヤンチンは幸福の神様だ」 らしい。おお。美しい名前じゃあないの、ホホホホ!こういう現地ネームをもらうともれなく現地で人気者に。 キンガさんにはお返しに「白鳥 英雄」という 日本名をつけてさしあげました。

そんなこんなでカルカッタに到着。 思ったとおり、ヒッピー系の方々はぞろぞろと降りる。 さ、みなさま、わたくしたちはサッサとブータンへまいりましょう!

カルカッタで係員に怒られている私
・・・・しかし、さすがインド。 わたしたちをそうスムーズに送り出してはくれなかった。
実はインドは何も問題がなかったのだが、どうやらパロの天候が 悪いらしいのだ。山の天気と女心は変わりやすいものねえ。 乗客全員カルカッタ空港のトランジットラウンジ(椅子のあるただの部屋) でぼんやりとするしかない。
ぼんやりぼんやり。

あ゙〜〜〜!ブータン遠い!飛行機で飛ぶのに遠い! 機内から軽装ででてきたのに、ファンが強力で寒い寒い。 結局機内食(激ウマタンドリーカレー)もここで食べ、待つこと5時間でようやく離陸。 約2日目にしてやっと、やっとブータンへ近づいた。 こんだけやったんだ、ブータンめ。 思い切り楽しんでやろうじゃあないの。待ってろ! とほくそえむきあであった。 ああ、山と雲の切れ目に町が見えてきた!

うわあ!あれ空港?空港?すごい!美術館みたいだ!!! 滑走路に降り立った私は大興奮! アースグリーンの屋根、ブータン建築らしい細やかな細工。 私は断言する。世界でイチバンステキな空港がこの国にあるとね。 シャルルドゴール空港もひれ伏すであろう。 2年前に訪れたことのあるけさんもビックリしている。
「うわーキレイ!見てきあ、あれが以前の空港だよ」
ん?なにい?きょろきょろ。どこ?へんな民家しかないよ。 げっ!まさにその民家が元空港!?ひとことでいえば 田舎のJRの無人駅みたいな建物がそうらしい。 うわあああ。さっ、さすがきあが生まれたときも まだ鎖国していただけある。ブータンおもしろそうじゃん。 入国審査のときふと天井を見上げた。信じられないくらい美しい 曼荼羅が描かれていた。うひょー。ミュゼ・ブータンへようこそ状態か。


インドかバングラ上空有視界飛行中

ヒマラヤ突入〜!落ちないでね

恐ろしい山々の隙間の谷の新しい空港。山の天気は変わりやすくディレイ多いらしい

さて今回お世話になるのは、シャングリラ・ツアー&トレックの 色男ガイド、R氏。5時間もお待たせしてすんませんねえ。 みなさんご存知のとおり、ブータン旅行というのは、 ブータンの旅行代理店を通さないとビザはおりない。 ガイド、移動、ホテル、飯、すべて込み込みの「国内ツアー」しかない。 つまり、帰国までこのR氏と昼夜を共にするのだ。 な、なかよくしてね〜。けさんは久々の再会でうきうきと、昔話もはずむようだ。 すでに時間は夕方5時前。観光はもうナシね。もー疲れちゃったよ。 とかいいながら、夕暮れまでちょっと街にでることにする。

パロはブータン唯一の空港がある町だ。 だがしかし、そこは日本的にいうと「山村」といってよいだろう。
ぽつんぽつんと建つブータン様式の建物。 町行く人はすべて民族衣装「ゴ」と「キラ」を身につけている。 はたはたと経典旗「ダルシン」がひるがえり、 鳥の声くらいしか聞こえない。 世紀末の地球上にこぉーんな都市があったとは。 キツネにつままれている気分で車に揺られていると、 町の広場(ただの草っ原)に大勢の人が集まっている。
「ああっ、とめてとめてストーーップ」
ブータンの国技、アーチェリーじゃないのよ、これは見るしかないでしょう!





葉っぱ隊のように的に当たると踊る

「山田くんカッコイイ〜!」女子も応援

見知らぬ異邦人を観客に加え、アーチェリー大会は続く。 選手が放つ矢が、100mほど離れた的に見事あたると、 男衆が的のまわり集まり、なんか呪文のような歌を うたい、踊り、祝っているようだ。 うわあ、なんだこれ。楽しいじゃないの!! しかし、ブータニーズって目がいいのね〜。 実はわたしのツレが元アーチェリー部なのでいろいろと話を聞くと 大体、的との距離は70mらしい。しかも的はほとんど見えない。 このとき、すでに夕方で日も暮れつつあるのに、 みんなみごとにスパスパ当てて、ワイワイ踊りを踊っている。 ああ。まさにこれはテレビで見た「ばんばんのブータン紀行」の世界だわあ。
さて今夜はパロに泊まり、明日ティンプーに移動。 古城を改造したホテル・ガンテパレスという パロ・ゾン(パロ寺)が目の前に見える風雅なホテル。
こぢんまりした可愛いお部屋です

パレスの中庭あたり

しーーーーーーーんと寂しいくらい静まり返った ホテルでブータン第一夜はふける。 ああ、こんなにいいホテルなのに給湯があまい。寒いよおお さすが標高が高いだけあって、これから長袖Tシャツを 何枚も重ね着する旅が続くのであった。 ぞくぞくするのは、寒さのせいだけじゃないのだ。 楽しみの武者震い。明日もブータンの風が吹く。

■本日の出費
・空港使用税 20US$



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