ブータン神秘的編


5月9日/5月10日/5月11日




1999年5月10日(月) パロ〜ティンプー〜プナカ

さぶい・・・・。この旅、始めはフリースをザックに詰めていたのだが、
「ええーい!あんな邪魔な物もっていかねえ!」
と、出発の朝に抜いて来たのだ。しかしすでに後悔。アワワワ、と歯がかみあわないくらい寒いよう。 しょうがなく長袖のTシャツにウィンドブレーカを重ね、パロを出発。
地図上では、パロとティンプーはそう離れていないと確認していたので、 1時間くらいかなあ、フフンフンと思っていたら、 さすが山岳国。くねくねうにうにの道を這いずり2時間かけて到着だ。

ホテルスタッフ&R氏と記念
一国の首都であるティンプー。そこは、ホントに今まで見た事がない 首都としての姿があった。「村ですか?ここは?」 家はポツポツと建ち、メインストリートとはいえどもその距離も 100mあるかないか。信号機はもちろんないかわりに、 ロータリー中央に立つ交通整理担当の警察官が手信号でクルマを誘導している。 そのストリートを通る車の数も、首都とは思えない数だ。 お口あんぐり。想像以上の田舎っぷりにただただ感服するだけである。 まずはR氏のオフィス、シャングリラツアーへ寄りつつ、ひとりで町へでることにする。
初めてきた街、とても新鮮な街なのにまるで実家に帰って来たような この穏やかな風景。(いや、あたしの実家のほうがイナカですが・・・) 両親の昔のアルバムをそのまま再現したようだ。 ひとりブラつく私は民族衣装も来ていないので大注目。 イヤーンそんなに観ないでテレちゃうわなんてものじゃなく、 あまりにも強く純粋なその好奇心の目線。
照れ隠しに「クズザンポ〜」と声をかけてみた。 おばちゃんはにっこりと「クズザンポー」と返してくれた。


ティンプー通り。とりあえず説明しておけば繁華街であり20世紀です。

…ああ、なんてこったい。とんでもないところにきてしまった。たいへんな場所を知ってしまった。 私なんか100年早かったのではないだろうか。 でも100年後、この国はこの街はこの文化は、 果たしてこのままでいてくれるのだろうか。 今までに感じた事のない思いがぐるぐるぐると頭をめぐる。
アイデンティティとはなんだ?
この旅、つねに私の頭のすみっこにあった言葉である。

ものすごいカルチャーショックを受けたあとはメシメシ(単純)。 「ラナムスレストラン」という小さな食堂でモモをいただいたのだが これがまたウマいのなんの!!!とくに揚げモモなんか 2皿も食ってしまいました。在ブー日本人の間でも有名なのだそう。 その後、国いちばんの郵便局へ行き、そこで働いているという R氏のお父上に会う。とても優しそうなひとで、 記念切手ポスターとパンフレットをいただく。カディンチェラ〜。


見たことないけどポタラ宮みたいな知らん寺。
さてティンプーを後に向かったプナカ。 「プナカゾン(プナカ寺)というのはとにかくスバラシイらしい」 それくらいしか知識はない。 プナカは、ティンプーより1000mも標高が低いらしく、この旅でかなり車で移動したのだが、 ひとついえることは30分おきに体感温度が如実に変わる。 つまり、山と谷を縫うように走る横断道路をいくので、 標高があがれば寒くなり、さがれば暑く感じるまでになるのだ。

話がそれた。つまりプナカは標高が低いからかなり暖かい。 さっきまで着ていたウィンドブレーカーなんかジャマジャマ!
(しかし峠あたりになると毛布必須。アシアナの機内から失敬した 毛布がとてつもなく重宝した旅だった。←あんなジャマなもん帰りの便で返したですよ

プナカゾンは、ポ・チュー、モ・チューという男川、女川が ちょうど合流する地点にそびえたつ。 男川のほうには男の子ばかりがうまれ、反対は女の子ばかりらしい。 黒い酸性川と白いアルカリ川が合流する地点は 見事に色が分かれており、摩訶不思議ワールドを作り出している。 揺れる吊り橋をわたり、ゾン内部へ。
ウヒョー!リトルブッダの世界だ。ってはしゃいじゃいけない。 そっと本堂らしきところに入ると、ドカンドカンとならぶ3つの ブッダは製作途中。すみっこのほうでわらわらと職人が ブッダのパーツを作っている。
「うわっ、手だ手。ねえねえ作らせて〜」
職人小僧たちはあやしげな珍客をわいのわいのと迎えてくれ、 コテのような物に粘土をつけて渡してくれる。 おそるおそる、ペタペタと粘土をつけ、不器用になでつけていく。 みんなその様子がおかしいらしくケラケラと笑うが、 恐れ多くもブッダの手の基礎作りに参加させていただくのだ。 そりゃアンタ緊張するわいな〜〜! けさんも私も顔をひきつらせながらペッタンペッタン。 ハタからみるとかなりヘンな集団だろう。 Rはせかすことも諭すこともなく、穏やかに待っていてくれた。 というわけで、みなさんもプナカゾンにいくことがあれば ぜひ3つのブッダを見て来てください。 左側のブッダの左手の甲の部分の製作に関わりました!(大げさ)

プナカゾンと男川女川が混じる川



今夜のお宿は「サンドペリゲストハウス」のコテージ。 毎日、宿の心配をしなくていいというのは楽な反面、暇でもありますね。 なんとこのホテルには、ブータン唯一のプールが併設されています。 もうむちゃくちゃ寒いのに、Rが無邪気に泳いでいる・・・。 このホテル、ほんと山の中にポツン・・・と立ってて、街まで 歩くこともできない。そのへんがちょっと寂しいな。

まだ日暮れまで時間はあるし、周辺をお散歩しようと、 斜面にたつホテルのさらに高台をめざす。 どうやら、高台方面にはふつうの家族が住んでいるらしく、 子どもの姿をやたら見かける。 世界中どこにいっても、子どもと言うのは好奇心旺盛で、 外国人をみかけると金のガチョウのようについてくる。

モロッコではずいずいずっころばしとあやとりと糸まきまきを伝授したが、 ここでは棒倒し(山崩しともいう)を胸に刻んでいただくことにする。 砂で山をつくり、てっぺんに棒をさすやつ。 将棋のコマでもやったりするアレね。 簡単にルールを教え、さっそく開始〜〜!みんな次々に棒を倒し、 そのたびに愉快な笑い声が響く。


山崩しは私の大好きな遊び(暗)

負けたらシッペ!!!!!

さらにジャンケンを教えると、もう狂ったように ジャンケンを延々としはじめる。ジャンケンって、ブータンにないの? そのころ、学校帰りの学童どもがわらわらと寄りはじめ、 もう収拾がつかない。お山の大将もさすがに30人斬りはきびしっす! 「また遊ぼうではないか、よい子の諸君」と捨てぜりふ を残し、あたふたとコテージへ帰るインチキ大将であった。

その夜、けさんとRはワインを飲み、下戸な私は名物アップルジュースをちびちび楽しむ。 標高が高いので、アルコールはすぐに回る。飲んだあとけさんはぶったおれまくるのであった。

■本日の出費
・ハガキ 50NT(100NTのセットをけさんと半分こ)
・切手 272NT



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