![]() ブータン神秘的編 1999年5月14日(金) ティンプー〜パロ 今日も元気だご飯がおいちい。ますますヘルシーライフになりからだの調子よすぎ…どうしましょう。 8時にRがお迎えに来た後、朝のお寺見物へ。爽やかすぎて、文句のいいようがありませーん! しかし、ついた場所はいままでのブータン様式お寺ではない。おや?Rさん、ここはなんなの? 「ここは今の国王のお父様、つまり前国王の お墓。キングスストゥーパなのだ」おお!そうでしたか! メモリアルチョルテンと呼ばれるその建物、 こんな朝早くから、たくさんの市民があつまり、建物(つまり墓)の 前をぐるぐるぐるぐる回っている。しかも規則的に「右まわり」。 横の建物では、僧がお祈りをささげている。
おじいちゃんも歩く。 おばあちゃんも歩く。 若者も颯爽と歩く。 マニ車をまわしながら歩く。 ぐるぐるぐるぐる。惑星の周りをまわる衛星のようにぐるぐる。 まるでここに、ちいさな宇宙があるみたいに。 ふと見ると、片脚義足の人も歩く。 義足といっても、ただの木を添えてるだけだ。 あれじゃ、添えてる根元のほうは歩くたびに痛いだろうなあ。 でもその人はあたりまえのように、歩く。何周も歩く。 姿を消していたRは、建物のかぎを持って現われた。 ギィーーーーー。重たい扉が開いた瞬間、見たモノは・・・地獄だった。 それは、もう、みたこともないほど美しい地獄が描かれていた。 中央にそびえたつ、地獄絵図の彫刻。 建物の内側に描かれている天国の絵が地獄を囲んでいる。 細く暗い階段を2階、3階とあがっていく。 屋上にのぼると、ティンプー市街が一望できる。建物の下を覗くと、 まだ、たくさんの人々がくるくる、「宇宙」をまわっている。 その後、もうひとつお寺に向かう。 ジルカラカンというレディモンクの寺。 つまり尼寺である。尼という存在がブータンにもあるとは、 ま、当然なのだろうが、いまさらながらちょっとビックリした。 みんなおつとめをしながら、ニコニコと迎えてくれた。 見た目、オトコノコっぽいのだが、はにかむ笑顔はやはり少女だ。
ニコリともせず、背すじをピンと伸ばして座っている。なんと6歳。その佇まいは無邪気であるはずの6歳のそれではない。 Rがなにやらしゃべって、黄色い糸を首にかけてもらっている。 私たちにも。その圧倒的な雰囲気に、ちょっぴり震えながらちかづく。 そっと首にかけてもらう。Rが言う。 「結んでずっとこれを首にかけておくんだ。お守りだ」 生き神ドゥプトゥプは、神の17回目の生まれ変わりだ。 過去のすべてを予言できる力を持っているという。 クマリの場合、生理がはじまり女になったら代替わりするが、 ドゥプトゥプは、一生ドゥプトゥプとして生きる。それが運命だそうだ。 帰り道、Rが「ボクの名前も、ドゥプトゥプなんだよ」 Rのフルネーム(しつこいがブータニーズに名字はない)は ドゥプトゥプ・Rなのだ。1週間一緒なのに初めて知った。 その後シケた動物園(というか牛を囲った場所)や図書館、紙漉き工房や 銀細工工房などに立ち寄るが、すべて午前中の聖なる体験で色褪せる。 唯一、宗教画家職人を育成するアートスクールで、わたしの先輩から 頼まれていた「おつかい」を果たしホッとする。 福岡で行なわれた「アジア太平洋博覧会」でブータン人と仲良く なっていた先輩に、ここで働く人に手紙を預けて欲しいと いわれていたのだ。残念ながら、彼はいなかったけど 校長先生に託した。人と人の輪が、つながりますように。
午後のひとときはR宅に招待していただきお茶タイム。すると、 そこにはあのタイの僧、キウィさんもいた。 あ、そうやん!キウィさんに占いしてもらうんだったわい! キウィさん、今夜は離さないわよ(←こういう発言は誤解を生む)。 明日早朝発つ、私とキウィさんのために、夕方はパロへ。 ホテルではけさんが買ったキラを試着させていただいたり、 ハガキを書いたり、アメリカからの旅行者とオハナシしたり、 仲良くなった、別のブータン人ガイドさんに 「あなたに山田強という名前をプレゼント! 意味?ストロングな山男よ!」などと、わけのわからん コミュニケーションをして楽しんだ。 その夜、最後のブータンを楽しむべく、Rの友人をナカマに 5人でワインで乾杯。下戸だけど。 ああ。明日、明日もうここにはいないんだな。 寂しいけど、心残りはない。私なりにブータンを知ることができた。 それだけじゃない、自分がどんなことを考えるのかも 理解できた。ちょびっとオトナになったのかな。ふふふ。
1999年5月15日(土) パロ(〜バンコク) 寝る前の祈りがつうじたか、パロの空は雲も少なくなり 無事飛べそうだ。ほぼ定刻通り、ちいさなドゥルックエアの飛行機は これまたちいさな滑走路から飛び立った。 「バンコクで会えたらいいね、てか待ってるよ〜」 「うん、旅のみちづれありがとう」 けさん、そしてお世話になったRと別れ、今は機上の人。 機内では、たくさんのブータン人と知り合いになれ、 あっという間にフライトだった。
にっこにこのわっはっは。ブータンのこどもはめちゃ可愛かったです |