ドイツ・中欧 疾走編 
2006年6月



「開国!」平成のお気楽社長ミゲールを囲み、ユーラシア東西アホコラボ。


6月17日/6月18日/6月19日


6月18日(ハイデルベルグ)

昨夜は試合後、まだ深夜バスがあったので私はそれに飛び乗って(というかバス停で30分ほど待った)ホテルまで帰ったけど、ハカセと酒仙人、もといapoさんはそのままご学友たちとパブに飲みにいった。元気だ…あきらかに年下の私のほうが老人モードです。んなわけで今日はたぶん彼らもそれぞれ昼まで確実に寝ているだろうと、午前はハイデルベルグ観光にいそしむことに。

ホテルツェントラルのお部屋ざますよ
この日は午後に合流してみんなでフランクフルトまで行き、日本VSクロアチアの試合を巨大なパブリックビューイングを見て騒ごうということになっていた。もともと今日も鉄道移動する気満々でジャーマンレイルパスの使用日程を割り振っていたけど、ハカセの車に誘っていただいたので渡りに船とばかりにお願いすることにした。
日曜だけあって店は軒並み閉まっているけど、観光客がいるのでカフェなどは空いていてにぎやか。日曜は町が死ぬほど静かなほかのヨーロッパの街とは違うのはさすが超有名観光地だからか。ハカセいわく「地元の人間は世界で一番長い歩行者天国っていってるよ」という石畳をぶらぶら歩きながら昼過ぎにコーヒーショップで合流。



ハイデルベルグを象徴する景色。でも哲学者の道には行ってません

ここからフランクフルトまでアウトバーンをぶっとばして1時間ちょいくらいで着くらしい。どんだけ走り屋やねん、と心の中でつっこみたくなるような猛烈な走りをみせるハカセ。こわい!とか言いながらも無邪気にきゃはきゃは車内は大賑わい。やっぱり地元の人と遊んでもらうのっていい!なんていっていると、目の前におなじみのクロアチアカラー(赤白の市松模様)のサッカーグッズで彩られたベンツが走っている。むむ、今日の試合のライバルではないですか。
「ハカセぬいてしまいましょう!クロアチア車なんか!」と、ばびゅーんと抜いて、リアガラス越しにその車にばいばーい!としたら、ベンツもいきりたってばびゅ〜〜〜〜んと抜き返す。さすがベンツだ、負けん気つよいわなんていっていたらどうもハカセの様子がおかしい。ついでに車の様子もおかしい。えっ、なになに?アウトバーンのど真ん中で一体なにが!?

ハカセ、かなり攻めの運転です
ちょうどちょっとしたパーキングエリア(ほんとにちんまいスペース)があったのでそこに滑り込む。ぎゃ〜〜〜!!!!なんか前のほうからけむりがもくもくでてますよ!マンガみたいに!あわてる女子チーム、冷静そうなハカセのサングラスの奥には一体何が見えていたのか…。もしかしてこの暑さとぶっとばしが続いてせいでオーバーヒート!?クロアチア車の呪いだ〜!

と、そんなあわてふためく東洋人に声をかける謎の集団。そのパーキングの石造りのベンチ&テーブルに陣取っているラテンな感じの男性4人が私たちを見て手招きをしている。え?なんすか?いまこっち、相当な緊急事態なんですけど…という間もなく、関東地区で1〜2位を争うラテン女apoねえさんがふらりとそこへ行く。たぶんテーブルに並ぶワインの香りにをかぎつけたに違いない。ねえさんさすがです。その勢いでトリュフとか探してください、付いていきますっっ!

彼らはキャンピングカーでポルトガルからW杯に来たおっさん4人組らしく、こんな場所で上半身裸でキャンピングカーで調理した本格的な料理に舌鼓をうつという、紳士なんだかアウトドア派なんだかわからないランチを繰り広げていたのであった。どうやら車おかしくなったっぽい私たちに興味をしめしたのか、ただのお気楽なラテンの血なのか「まあいいから食べろって、飲めって」とどんどん食事をすすめられる。もちろんタラ料理とマメ料理はマスト。しかもできたておいしいなぁ。
ハカセは携帯でどうやらドイツのJAFに電話しているようだ。な、なんかいいのかな〜楽しんでいいのかな〜ハカセ、すいません…でもなんつうか、すっごいオモロいんですけど、この状況…



石のテーブルに使い捨てのクロスまで掛けて本格的なランチを楽しむ、さすがなポルトガル人

どうもこの4人の中で最も陽気でえらそうな人がリーダー(社長)のミゲールで、その他はそれぞれあれこれちまちま動いてサポートしている。やんちゃな大将ミゲールを森の仲間たちがハイハイとなだめているような風景を想像する。彼らは4人でW杯を存分に楽しむスケジュールらしく、様々なチケットをみせびらかし、apoさんの目には星がきらきら輝いていた。その場で彼らと携帯番号を交換し、もしチケが譲れる場合は連絡をとる話をとりつける。すごいな〜車が故障しなきゃこんな出会いはなかったはずだし。

結局、ドイツ版JAFが来るまでにっちもさっちもいかないので、ハカセもこのおっさんたちと宴会をすることに心を決めたようだ。ポーカーフェイスながら日本の扇子などを持ち出し、ぐびぐび酒を(やけ酒?)あおりはじめた。だってとにかくおっさんたちののめのめ攻撃はすごいんだものな〜。とっておきのポルトワインなどをわざわざ車から出して私たちにふるまうその姿、おもしろすぎるし、さすがポルトガル人だなぁ〜と本当に感心しきり。
前世がラテン女なapoさんはカタコトのスペイン語(ポルトガル語?)をあやつり、みんなとのコミュニケはたやすいようだ。私だけがやはり何にもできずにニコニコ日本人的対応に終始。あのさ、英語でさえつたないって〜のに、スペイン語やポルトガル語なんかストライクゾーンからおもっきしはずれてるってば!!!(泣)ちなみに私の知ってるポルトガル語は「オブリガード」のみ。



突然キャンピングカーから楽器をたっぷり持ち出して演奏タイム。
写真原本(モザイクなし)や動画を見ると10分は笑いがとまらない写真。

ごみ収集の作業員にむりやりポルトワインをすすめにいくおっさん。
作業員(右)も苦笑しながらぐいっと飲んで軽やかに去っていった…


ようやくJAF到着。ADACという文字をみて、一瞬
サスペンダーに短パンをはいた人が降りてくるのか
と思った。(そりゃAC/DCだっつ〜の!)
歌い踊り演奏し、食べて飲んでみんな葉巻を吸ってと「ここアウトバーンなの?どっかのパブの一角では?」という数時間を過ごした後、ようやく修理車とクレーンがやってきた。3時間くらいだろうか、おっさんたちがいなければお腹ぐうぐうの寂しい3時間だったと思う。本当にありがとう!ポルトガル人がきちんとご飯休憩をとる人種であることに感謝した私たちであった。

別れ際にキッスをねだるセクハラ社長ミゲールを笑顔であしらい、ばいばい!みんなで牽引車にのって一路どっかへ。どっかて。もうどこにいくかはわからないけど少なくともフランクフルトではないし、日本クロアチア戦はとっくに始まっている時間だ。今日っていったい…てか、女子チームは実はもうコソコソと「ハカセに悪いね」「どうしよう修理代持ったほうがいいよね」「いくらかな」とその心配ばかりしていたのだ。私たちがこなきゃ〜こんなことにはならなかったわけで。かあさん、ボクはどうすればいいのか、わからないわけで。(純口調)

今日は日曜日。到着した修理工場もがら〜んとしている。牽引車を運転していたおじさんが「オフィスで試合みるといいよ」とテレビをつけてくれた。試合終了まであと10分の様子が映っております。オフィスの椅子にすわって大人しくテレビを見る3人。他人事としてこの様子をみるとあまりにもおもしろすぎる。なにこの光景。なんで知らない町の修理工場のオフィスで日本の試合みてんの?ぎゃははは。でも車からもくもくと煙がでたハカセは笑い事じゃないよな〜。うむう。
結局それから、ハカセのなじみのディーラーまで車をさらに牽引し、休業日のショールームの前にで〜んと車をおいて(メモ紙をはさんで)、トラムで町まで帰ることに。一日濃かった。濃すぎた…。ハカセごめんね、すごいおもしろかったです。


ハカセおすすめのフォアグラ!今まで食べた
フォアグラの中で一番おいしかった
この夜は、ハカセの家のすぐ裏手にある広場に面したしゃれたフレンチの店で、おすすめのフォアグラを食べながらフランスVS韓国の試合を観戦。
毎日、毎時間なにかの試合を観戦していてこれがまた当たり前におもしろいのだから、W杯にその土地を旅するのってすごいヤミツキになるのがよくわかる。この1ヶ月、まったく研究に手がつかないとハカセも言うほど大学内も浮き足立っているらしい。
この夜は深夜までハカセの家でみんなでおしゃべり大会。病的な低血圧のハカセは夕方までポーカーフェイスで、夜から朝まで元気で饒舌らしい。
いやホント充実の長い長い一日だった。ハカセとは今夜でお別れ。ありがとうございました!次回はぜひ日本で会いましょう!


とても絵になるヒトコマ。手前の瓶のフタさえ写ってなきゃ一番好きな写真



●本日の出費(1ユーロ=約148円)
バス(ハイデルベルグ駅前〜大学前広場)…1ユーロ
水…2.25ユーロ
アイス…0.8ユーロ
お菓子とか…4ユーロ
ネットカフェ…5ユーロ
夕飯(おされフレンチ)…60ユーロ
タクシー…6.6ユーロ