![]() インド西部爆笑編 2000年9月18日 ハリドワール ガンガの側、ガートのすぐ近くの宿だけあって早朝からすでに賑やかな声が 川岸に響いている。昨夜は、トイレから脱出してきた多くのコオロギたちと 苦戦しながらも最後には降参して、枕元にたたずむたくさんのコオロギと 一緒に寝た。朝おきたら、白いシーツに何匹かコオロギがつぶれていて 泣きたくなるほどスバラシイ目覚めだ・・・。 ふと、外を見ると目の前に広がる白濁し、流れの速く、大きな大きな川。 えーっ。これがガンジス川、ガンガなんですね!? きのうは闇に隠れて、水面のきらめきしか見えずなんとなくピンとこなかったが この風景に驚いた。
さて、鬼達はすぐに朝食にありつきたいらしく、すぐに外にでる。わたしはあいかわらず チャイで胃を優しく満たしていたが、係ちょー(赤鬼と命名)は、いつのまにか サモサをもりもり食べていた。ああ、この世界が飢餓に襲われたら赤鬼はまっさきに 死にそうだ。あたしは心の中ですこし気の毒に思った。 さあ、今日はこの聖地ハリドワールでまったりとすごし、ジャンクなアイテムを 見つけるのが目的である。神様グッズはもちろん、ガンガの水入れ、宝石やさんなど さまざまな店がギュウギュウにつまったとっても楽しげな町で、その雰囲気は 大好きだ。なんかバリバリインド人観光客(というか聖地巡礼の旅にきたみなさん) が楽しめそうな場所で、わたしもテンションがあがるってものよ。 かおちゃん(青鬼)はホトケ様グッズが大好きなので目がキラキラしている。 本当にへんなものを見つけるのがうまい。あたしは雑貨ものは元々好きじゃないので (部屋におくと掃除するのがめんどい、ただそれだけ・・・)みんなが へんなキーホルダーに友達や自分の名前をいれておみやげにしている のを見た時は「それは絶対嫌がらせでしょう」とつっこみそうに なりました。 昼間のガートはのんびりムード。夜になると… 昼飯も適当にお店に飛び込んだのだけど、そこがなんとなくヨイ。 おじいさんがメシをつくり、孫が一生懸命サービス。客は私たちだけだが 席にすわったらテレビもつけてくれ、「チャイが飲みたい」と 言ったら、どうやらこの店にチャイはなかったらしく、すぐに子どもが 茶葉を買いに走ってわざわざ作ってくれた。ご飯もとってもおいしかった上に そのチャイがまたうまいったらない。 このインド旅では、当たり前のようにメシ代に必ずチップを上乗せ(10%ほど)して払っていて それが当然だとおもっていたので、ここの会計が191RSと聞いた時みんな当然のように 200RSをおいた。そしたら9RSじゃなく10RSおつりが帰って来てまたビックリ。 いいんですよチップですから〜と、こちらのほうがあわてたほどだ。 やっぱりインドって不思議だ。キライなんだかスキなんだか、自分じゃ全然わからない。 何が起こるかわからない。2週間だけじゃ全然わからない。
私はインドやヒンドゥ教に関しては何も知らないが、今夜ガートで行なわれる 祈りの儀式は楽しみにしていた。すごくいいよーと赤鬼がすすめるのもあるが、 なんとなく私の生活にイチバン遠い「祈る」ということにとっても興味があったのだ。 日暮れ前早々に近くでメシを食べたが、インドにきてはじめてチャパティを3枚 たいらげた。それくらいおいしい。ハリドワールのご飯にハズレなし。 アルティというらしいその儀式は、母なるガンガー に捧げる儀式。メインガートに行くと、驚くほど、アリの入る隙間もないほどの 巡礼の人々で埋め尽くされている。あわてて私たちもメインガートの中に入り込む。 おりゃ〜。いくでー! 音楽と祈りの言葉があふれ、人々の熱気でむせかえるガート周辺。 すごい!すごいすごい! アタシはただ立ちすくむしかなかった。 鳥肌がたって背筋がゾクゾクする。 まばたきをするのがもったいない。 みんながガンガーに向かい祈っている。 たいまつが灯り、なにか言っている。 何いってるかなんか全然わかんない。 でもみんながやることはひとつ。祈る事だ。 アタシは「祈る」ということがこんなにパワーを発する事とは全然知らなかった。 言葉じゃあ絶対伝わらないんだけど、その空間だけがなぜか凛とした空気に 満ちていながらも、めちゃくちゃピースフルだ。 夕暮れのガートは、震えるほどのオーラに溢れる。お経?の合唱がいまも耳から離れない なんだかんだいいつつ、実際のところあたしは、旅で価値観なんかかわりはしないとおもってる。自分はそんな単純な人間じゃないとおもってる。 旅はあくまでも日常生活を忘れリフレッシュする趣味にすぎないとおもってる。 もちろん、いまこの瞬間だってなにかの考えや自分の生きるスタンスが変わるとは とても思わない。でもなんだろうこの気持ちって。悔しい、と思った。 インドなんか!インドなんか! そう思い続けてきたのがガラガラと崩れる。 「インドぉ?インド人はこわいし、キッツイし、くさいし、汚いし、 戦争するし、カーストあるし、乞食おおいし、イメージ悪いし、ヘンな旅人が エラそうにしてそうだし、行かなくってもいいもんねーだ」 そんなことをどうして思っていたのだろう?見た事も行った事もなかったくせに。 少なくともいま、私はインドにいる。そこで素直にかんじた事は インド、あんたなかなかやるじゃないのさ。 ただそれだけだ。もう一度来るか?とかまた来たい!とかインド最高!とかそういう気持ちではなく、 ただただ、やっとインドに対する先入観が消えた。ということだ。しかもこの祈りの祭りをみて。 これを見なかったら、インドへの印象はたいしたことなく終わっていたと思う。 この儀式を心に刻む事ができて本当によかった。
その後、みんなでフラワーボートと呼ばれる、葉っぱに花びらをつめたものを流す。 私はどこにいってもなにかを祈る時は必ず「家族みんなが健康でありますように」 なのだが、ちょっとクサイ?だって本当なんですもの。 しかし、幸せをもっと欲張りたい赤鬼・青鬼は50RSも奮発してバカでかいフラワーボートを さらに購入して流した。 みんなの願いをのせて、フラワーボートはゆるゆるとガンガの急流に のみこまれ、やがて見えなくなった。 本日の出費 ※共同サイフを作り3人分の出費はまとめてはらっています。 ◆で表現したものは3人の共同サイフで共同のものを買ったり乗ったりしたときの 金額。3人分。■で表現したものは個人のおみやげなどを買ったものの表現、1人分です。 ◆チャイ 9RS ◆ザクロジュース 75RS ◆昼飯 200RS ◆昼飯 52RS ◆リクシャ(ガート〜郵便局) 10RS ■切手(8RS×6枚) 48RS ◆市外電話代(じろうに電話) 107RS ◆ジュース 30RS ■おみやげ(へんな置物11個) 100RS ■ガートで御布施 20RS (その他:掃除の人に5RS、サンダル預け代3RS) ◆夜飯 133RS ◆ショウロウ流しの花(ミニサイズ3個) 15RS ◆ショウロウ流しの花(でっかいの1個) 51RS ◆チャイ 9RS ◆ザクロジュース 90RS ◆水 10RS |