インド西部爆笑編


9月11日/9月12日/9月13日

2000年9月12日 (ジョドプール)〜ジャイサルメール

ぼんやりした頭を誰かがゆさゆさ起こす。
目の前のベッドで寝ていたサリー姿の おばちゃんだ。「終点よ」といってるらしく、みな大荷物を 抱えてまだ暗闇のプラットホームを歩いている。えっ、何時?5時半・・・眠い。 ジャイプールとジャイサルメールの中間地点にあるジョドプールに到着。
やれやれ、と体を起こすと、ん?軽いぞ。なんとかイケる。喉の痛みとダルさは解消。

渋い顔して電車で爆睡中(盗撮!?)
そのかわり鼻水がすごいことに。おされなポケットティッシュなど持たない私は、 日本から持参した硬いトイレットペーパーのロールを片手によぼよぼと駅構内へと歩いていった。 とにかく体調が持ち直しただけで助かったって感じだ。だって今日は大移動。
これからまたインドの西の端、ジャイサルメールへとむかわなきゃいけない強行軍なんだもん。 ありがとう!神様仏様シバ神さま。なむなむ。

まだ外も暗く今から動けないし、ってなもんで、またまた駅の上にあるリタイアニングルーム横の レストランに夜明けまで居座ることにする。同じような気持ちであろうか、電車待ちらしき旅人の みなさん2〜3組も静かに朝ご飯をたべていらっしゃる。具合は良くなったとはいえ、いまだ うっかりすると遠い目をしながら3分ほど固まってしまうあたしは ゴハンはまったく受け付けず。私がボンヤリしている間、ふたりは隣の席にいた白人男性に 「ジャイサルメールのオススメの宿だよ。すごくよかった」といって 宿の名刺をもらっていた。でかしたぞ。その名もホテルパラダイス。
そこまで言うなら行ってやろうじゃないのさパラダイス、待ってろパラダイス。 ああ、はやく天国に逝きたい!じゃないや、パラダイスに行きたいわ。とウツロな瞳。

ぼちぼち空も白んできた頃、駅を出てさっそくリクシャにのってバス乗り場へ向かう。 しかし、ジョドプールのリクシャ(オートリクシャ)って派手!ドハデ!
写真に収めたつもりがやはり風邪ボケしていたのか全然撮ってないのが口惜しいほどに。 ハートのレリーフやアイドルブロマイド、神様グッズなどでキュートに飾り立てられたリクシャに 揺られながら「ミスター、やるね!このリクシャかっこいいじゃん!」とか 「キレイにしてるねピカピカだよ、この色男!」など日本語で誉めちぎって いたら、おやじ大興奮につきもれなくリクシャ代がタダに!
あらあらアタシタチのお色気にノックアウト? とか思っていたらその代わり写真撮って送ってね(はあと)といわれる。 リクシャ代は10RSだったのに・・・現像&送付代ほうが高くつくじゃん・・・。

ここからのバスは砂漠の果てジャイサルメール行き。6時間の道のりだ。覚悟覚悟。 うとうとして目を覚まし、またうとうとして顔をあげる。全然風景がかわらない。 乾いた大地にわずかな潅木が繁る程度。あつあつの陽射し。こんなところにも人は 住んでいるんだね。隣り合ったサリー姿のご婦人、やっぱり小さな乳飲み子を抱いている。
バスの上も立派な座席です。気持ちよさそう

ニコリともしない。かさかさに乾いた肌と、細い指先。ほつれたサリー。貧しそうだ。
赤ん坊はインド特有のメバリで目をくっきり縁取られているのだが、お世辞にも可愛いとは言えない。 その赤ん坊はたぶんまだ生後半年くらいだろう。
お母さんが心配そうに差し出すほ乳瓶、よくみると薄赤い。あっ、チャイだ。チャイのませているんだ。 赤ん坊はガタガタ揺れるバスの中で、泣き声ひとつ出さず眠りもせず。何時間もウンともスンともいわず ぼんやり遠いところをみている。その目線の先に母親はいるのに、母親なんか見えていないようだ。
その親子は途中でおりていったが、そこは町もない、家も見えない何もない、地平線の真ん中だった。 どこにいくんだろう。赤ん坊はどこへいくんだろう。

お日様の陽射しを頭のてっぺんで感じる13時、ようやくジャイサルメールに到着だ。 ところで、このジャイサルメールの客引き、一筋縄ではいかない。 客引きがすでにジョドプールから乗り込んでいたり、ジャイサルメールの街中に入る前に バスの窓の外から「マダムマダム!」と名刺を差し出すという 客引き合戦地である。おおコワイコワイ。ちなみに私ら三人の客引きに対する態度。
係ちょー:言葉ができるのできっぱり断るかうまく交渉するか
かおちゃん:ゆらゆらと柳のようにかわしながら遠い目をして相手にしない
きあ:ちかよるな!さわるな!あっちいけ!と日本語でどなりまくる

こんなアタシ達、うまくやっていけてるのでしょうか?

とりあえず、バスに乗っていたホテルハベリの客引きのジープにのって この激しい客引き合戦の地から一路脱出に成功。同じジープにのってたドイツ人の 壮年夫婦は、ドイツから自転車でインドまで来たというとんでもない人たちだった。 結局、ホテルハベリはシュミにあわなかったので、お目当てのホテルパラダイス まで送ってもらい、ようやくチェックインだ。はーー・・・な、長かったねー。

しかし、そんな旅の疲れもこの風景をみて一掃!うそお〜〜〜〜すーげーーーー! 360度見回しても山がない、海がない、地平線だよー! 泊まったのは、たぶんこの宿で最も眺めが良さそうな105号室のトリプルルーム。 出窓の向こうは果てしなく広がる地平線。まるで窓枠が額縁、地平線が絵のよう。すごいすごい!気に入ったよ! このホテルパラダイスは城塞の中にあり、観光にもとても便利。宿を出ればすぐに路地。 野良牛とすれ違うのもやっとの路地に、この地方独特の派手なミラーやスパンコール付きの キルトがはためいている。なんだかこれこれ、待ち望んでいたのはこれよ、といった風情に 大満足のきあである。


ホテルパラダイスの屋上から360度見事な地平線…泣ける…人生初の地平線

シャンプーのCM狙いのつもりですか?

牛を従え、城内をぶらぶら散歩

さっそくシャワーをあび、洗濯をし、近所のお店のフライドライスに持参の醤油をかけて 食べたらゲンキもモリモリ湧いてきた。醤油って素晴らしい。ビバ!ソイソース!喉の調子もいいし、いまはすこしの喉の痛みと 寝不足でボンヤリするくらいで、旅に支障はなさそう。ほんとうによかった。

みんなで路地をぶらつき、野良牛とたわむれ(係ちょーは襲われ)ながら、のんびりと ホテル近辺でインドの西の果ての旅情に浸る。このホテルのまたいいとこは屋上からの 眺め。夕焼けがおっそろしいほど間近でキレイで、太陽が沈み、星空にかわるまでぼんやりと 屋上で過ごした。
なぜかふと、あのウツロな目をした泣かない赤ん坊を思い出した。


建物の影からそっ。はにかみ屋の牛田モーさん(52歳・無職)



本日の出費
※共同サイフを作り3人分の出費はまとめてはらっています。 ◆で表現したものは3人の共同サイフで共同のものを買ったり乗ったりしたときの 金額。3人分。■で表現したものは個人のおみやげなどを買ったものの表現です。

◆朝飯 60RS
◆ジープチャーター 600RS
◆バス代(ジョドプール〜ジャイサルメール)160RS
■唐揚げ 5RS
◆昼飯 280RS
◆ネットカフェ 110RS
◆ミリンダ 30RS
■ビタミン剤 10RS
■絵葉書(2RS×5枚)10RS
◆水 10RS
◆チャイ 20RS
◆夜飯 270RS


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