モロッコ大騒ぎ編


8月29日//8月30日/8月31日


1998年8月30日(日)マラケシュ〜ワルザザード

早朝、静かに宿を抜け、プチにのってCTMバスターミナルへ。アレ?ここはきのうチケット買ったとこと違うぞとおもっていたらどうやら プチの運転手が気を利かせたようで、ここが始発らしい。
乗り込んだのは、わたしらともうひとり現地の青年だけだったの席の争奪戦もなく大変ラクチン。 次に止まった旧市街ターミナルからは山のように人が乗り込んでやんややんやの大騒ぎ。 おかげで、一番前の眺めのいい席が取れてラッキー。 始発の新市街のバスターミナルから乗り込むのがコツといえよう。

バスは一路、アトラス山脈へ向かうため、真南へ進む。 そりゃもうどうしたの、というほどの一直線道路が続く。 こりゃキモチエエ!


海外でバスに乗るときは絶対最前列!
上のほうから見下ろすアトラス。乾燥しすぎ
れき砂漠が延々と続き、バスはだんだんとくねくねまがる山道を行く。 ケツがいたいような気がするけど、眺めもいいしヨシとしよう。

途中、峠の茶屋(?)で休憩。ケンが仕入れた情報で、 「ここのパンはうまい!」とのことだったので、 バスに乗りあわせた人たちと、 テラスでパンとカフェオレをいただく。 くまは現地の人と物々交換やビデオ撮影に猫夢中まっしぐらだ。

バスの発車を気にしながら食ってると、 店のオヤジは「大丈夫!」という。 そんならまだいいだろう。と思ったらバスが動き出しやがる!ひえ〜〜!! とみんなでダッシュ!あやうく置いていかれるとこだった…。

バスの運転手の見事なドライビングで、 4000m級のアトラス山脈越えはあっという間。 えっ・・・・結構気合いれてたのに、こんなあっさり越えちゃっていいの? というか、道路はなるべく低い山や谷に作っているんだろうね。 というわけで、マラケシュ−ワルザザード間は淡々と4時間の旅で終了だ。景色も堪能したし(半分寝てたけど)よがったよがった。

バスが着いたターミナルらしきところで、 次の目的地行きのバスチケットを予約しようとしてたら、 ここの警備員だというオマール(今日のポイント人物。テストに出るので忘れるな!)が、親切なんだかよくわからんが 「当日じゃないとチケットは買えない」とアドバイスしてきた。 次にオマールの友人、ガイドのラシーン(同上。忘れるなって)がでてきて、 ガイドとホテルの斡旋が始まる。

わたしたちは、 ここから車で30分ほどの世界遺産、アイドベンハッドゥを 見るためにこの街に来たので、渡りにフネとさっそくガイド料交渉。そしてホテルへ。しかしラシーンがわたしらの行ってみたいホテルにいかず、 自分のすすめるホテルに先に連れてくるもんだから、 ブーブー怒っていただが(コミッション取られる〜とか) 着いたホテル・サフサフは、これまでにないこぎれいでこぢんまりした 感じのいいホテル。
レセプションのおにいちゃんの英語は たどたどしく、まだこれからの宿って感じだ。 ここも値段交渉して、ひとり50DH(750円)。 くまきあはツイン、共同トイレ共同シャワー。 ケンちゃんはツインをひとりで使って同じ値段。というわけでここにおさまることにした。

さて、夕方ラシーンが迎えに来るまでのんびりやろうよ と、思ってたら、ギャー!ちょっと!部屋のカギがあかなーい! トルコでも同じ事があったなあ。 外国のカギは開けるのにちょっとしたコツが必要で 慣れないと開かなくてジタバタする(ちょびっと泣いたり汗をムダにかいたりもする)。 くまが部屋の中にいて、わたしが部屋の外に。 ふたりでがんばるのに開かない〜。
「ああ・・・くま。もう二度と会えないのね・・・いい人だった」
と思った瞬間、 助けてくれたのが、隣の部屋のアブディルさん。 アブディルさんは農業関係企業のアカウントなんたら(私らしく超アバウト)で ココに単身赴任しているらしく、 ホテルサフサフに4ヵ月住み着いているインテリさんだ。

ホテルサフサフ。周り静か過ぎなくらい

もともと、首都ラバトで銀行員をしていたというからエリートだろうね。 部屋にはワイドビジョンのソニーのテレビ。 日本人でももってねえよ…なにものコイツ?
彼とは夜、またいっぱい話す事となるのだが、 今回は30分ほど話しただけ。 約束の16:00、ラシーンが迎えに来た。 タクシーの運ちゃん、ラシーン、きあくまけん(今気がついたが3Kですな)は、 一路アイトベンハッドゥへGO!

ワルザザードという街は、カスバ街道の西の端。 カスバ街道とは、モロッコ名物(?)赤い土で作られたカスバ(城塞)が 点在する街道で、そりゃあ美しいらしい! ワルザザード自体に見所はない。 この街から約20km離れた場所にあるめちゃでかいカスバが アイトベンハットゥってわけです。 ここはカスバじゃなくてクサル(要塞化された村)らしい。 しかもここには、まだ人が住んでるつーから驚き!わたしがまずやったことはターバンを買う。 わははは。これでベルベル人だもんね。 巻き方を伝授してもらいごきげん。バリバリおのぼりさん♪

もう夕方だからか、観光客は皆無でなんかさみしい感じ・・・・ でもすごい圧倒的絶対的な迫力。写真で表現できなくてほんとすいません。 ラシーンに促され、要塞の内部へ入る。おおっ、これこそ異国情緒(?)。 迷路のような入り組んだ内部の様子にウットリのきあくまけん。 帰りにちょっとチップを渡せば、住んでる人の家を見学できるそう。 見たいけど、なんか気が引けるなあ。いや、でも、 いまやここの住人はこのチップが収入なんだ。と割り切って、 中にはいる。おお、牛が、羊が、にわとりが〜〜。いい感じ。 でも、この人たちはこうやって一生見世物として暮らすのかな。 COOLきあ(?)もちょびっと感傷的になっちまいました。


宮崎駿のアニメっぽ〜い。どーん。陽はさしてるのに空が曇ってるのも不思議チック

3Kショット。アホひとり(腹出し)

別の角度からみる。タイムトリップ気分

さて、観光もおわり、ワルザザードへ帰る道のり、ラシーンが
「ウチへこいよー。タジンをご馳走するから!」
と提案。 どどど、どうする〜?と話し合うきあ達だが、 ラッキーボーイけんを信じて 遊びに行くことにする。なんかウサンクサイやつだが、まあよかろう。 こっちは3人だもんね!強いぞ!サムライダマシイよ! この夜、世にも奇妙な宴会が繰り広げられることになるとは・・・

ワルザザードの町についてすぐ向かったのはスーパーマーケット。 おおー。洗剤とか食料品やらあるぞ。楽しいぞ! こゆとこのお買い物大好きなので、さっそくお土産用にスパイスなどを買い込む。 ラシーンはちゃっちゃと肉や野菜を仕入れ、わたしたちがロゼワインを2本購入。 さすがイスラーム国家。 パチンコ屋の景品交換所のような地味な場所に ひそやかに酒屋は存在し、みんな黙々と酒を購入しておる。 トルコとえらい違いやな。しかも酒が高い。冷えてない。 なんでロゼかというと、冷えてない白はマズイし、赤はわたしが体質的に あわないということで中間をとって。だいたい下戸だし、わたし。

ラシーン家は歩いて3分くらいのアパート。ややっ!なんだ! なんかさみしいぞー。ガラーンて感じ。 お、男の一人暮らしつーのはこんなもんだろうか? なんか血の気が引いてくる私。くまとけんは・・・まあ普通。でも心の中でビビッてるはず! 小心者のわたしは、なんか恐ろしくてたまらなくなり 椅子にこしかけたままぼんやりとしているしかなかった。 ううっ。身包みはがれたらどないしよ。 でも3人だしね〜だいじょうぶダヨネ?と思ってると、 なななーんと、近所に住む友人だというユセフがやってきた。・・・・・ いや、まだ3対2、イケルイケル!とか思ってると、 ラシーンが一言。
「あとでオマールもくるから」。 エンガチョー!
3対3かい!!!フィーリングカップルじゃないんだっつの!!!!
も、もうだめだーと泣きそうになりながら、 わたしは有り金の3分の2を靴の底に隠すことに余念がなかったのであった。 なんか、アタマから疑ってかかってるとはお思いでしょうが 旅の前にみたHP(モロッコ人詐欺師の手口教えます、というHP。今はないみたい)で、すんごいのがあって (かなり脚色してるとはいえどもね)、 その人の体験が頭にあるのでおそろしゅうてたまらんとですたい!


キッチンではラシーンが嬉しそうに野菜をむき、 肉を刻み、タジンをつくっている。なななななぜか 日本語で「力うどん」と書いたカップ麺のカップが 流しの横に。あーあれはきっとだました日本人からとりあげて・・・・ と失礼な妄想がグルグル。 いやな汗がダラダラと流れる。くまもビデオを無邪気にとりながら、
「ハイ、いつこの料理に睡眠薬が入るのでしょう」
と日本語で実況。けっこう、ブルーながらもハイテンションなふたり。
「で、でもさあ!ラッキーボーイがいるしね!」
「そうよぉ、ねえ、けんちゃん。大丈夫よねえ??」

と無責任にけんちゃんを見つめるきあくま。すがるような瞳で・・・
「うーん・・・・ファミリーじゃないっていうのが俺もひっかかるねん・・・」
や〜〜め〜〜て〜〜。けんの幸運もここで尽きるのか!?
みんなでテーブルをかこみあとは タジンが煮えるのを待つのみ。 ここでどんな会話をしたか、あまりの恐怖に覚えていない。 しかしラシーンがくまを気に入ったようで、結婚を申し込んでいたように思う。 私はいつでも逃げられるようにドアから一番近い場所をキープ(このへんが姑息)。ワインでつぶれないよう、 持参のミネラルウォーターをぐいぐい飲みつつ・・・・

緊迫した内容のため、猫でひと息どうぞ

そこへ、バスターミナルで最初に話したオマールがやってきた! こいつはいいやつと信じたい!信じさせて・・・・・ ジャイアン似のオマールくん。
さあ、宴会のはじまりだ。 タジンの食い方を教えてもらい(パンをちぎり、具をはさむ) さも、和やかな雰囲気で黙々とタジンをたべる集団。 マジで胸がいっぱい(?)で一口しか入らなかった。
いきなりラシーンが「アーユーハッピー?」とのたまう。 そ、その言葉はー!まさにあのHPの悪人モロキャンのセリフやん! きあくまはもう、半泣き状態で「イ、イエースオフコース」と 言うしかなかった。
そのうち、ラジカセでアラブ音楽をかけて踊れと言い出す。 ハイハイ、もうなんでもしますよアタクシタチ。 うつろな瞳でズンチャカ踊る奇妙な集団。 ここで、けんちゃんがへんてこアラブ風踊りを習得し、これから各地でダンスを披露。 地元民の爆笑を誘うことになるのだ。
このときの様子をくまがビデオに撮っていたのだけど、何年たっても爆笑できる珍プレーぶりだ。みのもんたにナレーターしてほしいくらい。

実はくまのビデオのバッテリーの充電を、 ホテルの隣の部屋のインテリさん、アブディルに 頼んでいたので、夜9:00までに帰らねばならない。 そう!わたしらには「モロキャンフレンドとのプロミスがある〜」と いう大義名分があるじゃないのよ! くまはとっととワインでよっぱらいやがって(現実逃避か?) このままじゃラシーンの毒牙にかかるかも! いかん、日本婦女子の純潔をまもらねば、と
「そ、そろそろ9:00だよ、くまぁ」
と弱々しく声をかけてみる。そうそう、さあ帰ろう帰ろう。 おうちへ帰ろうラララン〜〜! けんちゃんはもうすっかりノリノリで「俺、残ろうかなあ」と言ってたが、 さすがに夜、見知らぬ町の見知らぬ部屋でモロキャン3人に 囲まれるのは不安だったとみえて、一緒に帰ることに。タクシーに乗って無事(タクシーと運賃でもめつつ)帰れそうだ。


私の可愛い写真でひと息どうぞ(顔わからんがな)
・・・・でも、なあんだ・・・・ぜんぜん何にもなかったジャン・・・。(気がついてないだけ?) とくにユセフはすごい真面目でいいやつで(しかもいい男で)、 これから砂漠までの交通の便や相場などを教えてくれた。 感謝感謝。 ラシーンがとにかくくまにしつこかった以外は楽しかった、気がする。 ま、結局のところ、ガイジンにタダ酒たかりたかったのかな。

五体満足のままホテルへ帰り着き、ホッと一息・・・ いきなりハラへったよあたしは。 それからアブディルにお礼をいって、 テラスでナツメヤシと牛乳をゴチになりながらのんびり話す。 この人は本当にマジメなようだ。 酒じゃなく牛乳でっていうのがなんかカワイイ。 ああーホッとするよ。しかし牛乳がクセがあってまずい。

それから町を歩こうとくまを誘うと疲れているよう。結局ふたりで軽く散歩することに。 夜23:00ごろの散歩なんてキケンそうだけど、 手ぶらだし、こざっぱりした町なので大丈夫だとのこと。 あたしにはニセ・カラテ、けんちゃんにはボクシング。 ちょっぴりアルティメットなコンビだもの。ウフ。

テクテクと歩くとなにやらモロキャン2人組に声をかけられる。
「いまから友達の結婚式のパーティにいくんだ!こないか?」
なんですかその唐突なお誘いは!!!軽すぎ!しかし好奇心いっぱいのきあけん、 ウィズプレジャーよ、ムッシュ。 しかし、けんちゃんが「どれくらい時間がかかるの?」と素朴な質問。 彼らは歩いていくようだから近いんだろうとタカをくくっていたら、 なんと歩いたらぜったい1時間はかかるようだ。 「いかない」と、わたしの一言で、取り止めに。 くまも心配しちゃうし、ホテルかぎ閉まっちゃうよ。 しかし、彼らとしばし立ち話。っても、 アイキャントスピークイングリッシュよ!の私。

「残念だったねー」「いきたかったねえ」を連発して、 ホテルにもどる。それから1時間かけてたまった洗濯物を洗い、 けんちゃんはまたもやアブディルと政治などの難しい話をしたそうだ。 ああ・・・ほんと、きょうは濃い一日だった・・・・。濃すぎるっちゅうねん。




サフサフの前の通り


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