モロッコ大騒ぎ編


8月30日/8月31日/9月1日


1998年8月31日(月)ワルザザード〜ティネリール

ふわわー。6:00起床です。昨日確かめたバスの時刻は10:30。 でも、1時間前には行ってチケット買って待機しとこーぜ!ということに なっていたので、早起きしてみました・・・・が。 うむ?なんか体調がすぐれない。だるいなあ。 パンツ一丁で寝たのがイカンかったんか?(洗濯して着るものがなかった)
朝ごはん食ってパワーチャージしなきゃとおもうが、 目の前に並んだパンやおいしそうなジャムを見ても 食欲はわかずじまい。 オレンジジュースを飲んだだけで他は手につかない。 日本から持参したチューブ入りチョコクリームを持ち出すが やはりだめ。長時間の移動に耐えられるかな・・・ もう砂漠にむかってんのに。心配心配。

いわゆるコンチネンタル。カフェオレとかおいしい

バスターミナル(といってもほったて小屋で切符を買う)で チケットを購入後、なんか喉はかわくし、立っていられないし・・・ これはマズイぞヤバイぞ。じわじわじわじわ不安が押し寄せる。 脱水症状にならないようミネラルウォーターをどんどん飲むが、 なんかそーゆー問題なのかな?もうフラフラでまいっちんぐ。 バスに乗り込むや、2列シートに横たわる。オエエ。だるい。 心配したくまが、貴重な「冷たいカイロ」のようなものをくれた。 ふるとアイスノンみたいになって、非常に気持ちいい! が30分くらいで夢のようなひとときも消えた・・・・。 ウーンウーン。 せっかく、カスバ街道を昼間移動して景色を堪能するのだ!と 楽しみにしていたのに、ウツロな目で流れる景色を見る。

そんなとき、誰かが肩をたたく。ん?だ、誰よ。 ウシロの席に座ってた現地のオバチャン。 言葉など通じるはずもなく、すべてジェスチャー。
オバチャン「具合悪いのか?」
きあ「そうなんだよ、頭がね痛くてね」
オバチャン「んじゃこの水を頭にかけな」
と、差し出されたのは冷え冷えのミネラルウォーター。 おお、これはいい! さっそくちょびっと手に水を乗せ、顔と頭のてっぺんにかける。 んでオバチャンに「シュクランマダム」と水を返したら、 「なーにいってんの、そんなんじゃ駄目よ」とばかりに、 わたしの頭のてぬぐいを貸せという。 素直に差し出すと、オバチャンはおもむろに 水でてぬぐいをぬらし、びちゃびちゃにして返してくれた。

「・・・・シュクラン、マダム」
オバチャンはにっこりして、「よかよか!」という顔をした。 (念をおすが、オバチャンは一言も発していない。ゼスチャーです) 確かにこのアイデアはいい。すぐ乾いちゃうから気にならないし、 なによりキモチいい。 オバチャンの心意気も嬉しくて、体はキツいが心は軽い。 そしたら今度はオバチャンがオリーブの葉をぐしゃぐしゃに したものをくれる。「これを嗅いでなさい。スっとするから」 と確かにオバチャンは目で語った。

無表情。将来の夢は女子プロです。
よっしゃオバチャン、嗅ぐよ! ・・・・・・くさい。でもなんか、すごく心配してくれるのが伝わる。 その後もオバチャンは、首や頭、 こめかみなどのマッサージをしてくれる。なんで見ず知らずの旅人に そんなに優しくできるんだろう? 「シュクラン」しかいえないのが、はがゆい! 途中の町でおりるオバチャンと 自然にアラブ式両ほっぺに熱いチュウをかわす。 心配してくれてあんがと。シュクラン、シュクラン

さて、ワルザザードからバスで3時間、 やっとついたよティネリール。 ここは、近くにトドラ谷という有名な峡谷があり、 まさに観光地!!って感じの町で、バスを降りた瞬間、 客引きがうじゃうじゃと寄ってくる。
「ミヤゲヤスイ」「ニホンジンデスカ?」「トドラダニ!」
など、誰が教えたんじゃ!というほど日本語。 なんであたしらが日本人ってわかんのかね?しょうゆの香りでもするのかね、君たち。

実は、わたしらの目的はここではない。
砂漠にいくにはこの街でバスを降り、 ベルベルロードと呼ばれる道なき道を グランタクシーをチャーターして行った方が早いよ、と昨夜ヨセフから 聞いていたのだ。もちろん相場もね。 なので客引きに用はねえんだよ!おとといきやがれぃ! タクシーをシェアしようと、砂漠方面へ行くトラベラーを探す。 が、しかし行く人がみつからない・・・ フラフラになりつつ広場を歩くが、みんなトドラ谷目的。 ええ〜〜・・・そんなあ。とかいってるうちに、具合はどんどん悪くなりケンはいつのまにか、 ベルベルスタイルのオヤジ(青い服、黒いターバン)と交渉をしだした。 わたしは椅子に沈んで沈黙・・・すんません。思考回路ショートしました。

「どうしましたか〜?」ん?幻聴?日本語だ。でもくまの声じゃないぞ。 とそこに日本人女性が立っていた。おお!なんだあ? 彼女の名前はMさん。 なんと北海道からこの街のモロキャンに嫁いでいるという。 うっそお!!!こ、こんな灼熱の町に、よくもまあ・・・・。 だんなのムスタファはなかなかハンサムで すぐ横の土産物屋を経営している。 最初はよくある日本人がニホンジンをカモる人?と警戒してたけど、 Mさんはわたしの具合が悪いと知ると、 冷たいミネラルウォーターをうってる店を教えてくれて、 さらにお金を預けて買いに行ってくれたり、 こまかにアドバイスをしてくれた。 さらに「うちの店の二階でやすんで」 と申し出てくれたりなんかして。 うお〜〜〜〜!なんか親切にふれると涙もろいぞ!



結局そのままムスタファの店の二階で横になり、 この町に一泊することが決まった。スマン、くまけん。 でも、トドラ谷はきれいだからね。楽しめていいじゃん、 と心で言い訳。ごめんねみんな。 わたしが寝てる間、ふたりはホテル選びに奔走した後、 車で20分、チャリで約50分のトドラ谷へのミニトリップを決めていた。 ケンちゃんはレンタサイクルですでに峡谷へ向かったとのこと。 くまに案内され、ふらふらとホテルの部屋へ。もーバタンキュー! ホテルエルフーダは、後から「歩き方」を見たら載ってた普通の安宿だ。 具合は悪いが、やっぱり行きたいドドラダニ!(アクセントはダね)
すると、例のベルベルスタイルのオヤジがやってきて、 「ベルベル治療法で病気をなおしてやる!」と言い出す。

・・・・・ハッキリいって意識モウロウで覚えてないのよ。 ただ、くまが大笑いしながら撮ったビデオにその様子は くっきりと録画されていた。 まるで黒魔術を行なっているような東洋人の姿が・・・・ まず、きあくまオヤジの3人は宿の屋上へと向かう。 汚いベッドに座らされる。 そのオヤジがレモンをもってきて、きあの顔中にレモンを塗りたくる。 その後「ほーら、このベッドのまわりを歩いてごらん」とほざく。 ・・・・・ぐるぐるぐる・・・・グ〜ルグルっておい!いつまで回るんじゃ! はっきりいって、さっきよりきつくなりました。オヤジは最後に、 「これを行なうと、病気が私にうつる。そうならないように スモールマネーをくれ。これがしきたりだ」と胸をはる。
ほ・ん・と・な・ん・だ・ろ・ぉ・なオヤジ
良く分からないまま5DHほど渡す。 結局オヤジの民間療法は効かず(あたりまえやちゅうの!) 夕方までベッドで横たわる。これがイチバンよ。
あー顔が柑橘系の香りでイッパイ・・・

なんとか動けそうな予感。やっとくまと動き出す、すまんねー。本当にごめん… 一緒に行くのは例のオヤジの手下? Mさんが「チョースケ」と 呼んでいたのでわたしたちもチョースケよばわり。 確かに・・・にてるな。ぷぷっ。 せまーいプチになんと7人乗り込む。前に3人、後ろ4人。 あたしいちおう病人なんですよ・・・。


まったくレンズにおさまらないです

パジャマで観光中のくまとチャリんこケン

しかし、はっきりいってめちゃよかった。むちゃよかった。むっさよかった、めっさ(しつこい)。 結論だけ言うと、この ティネリールからトドラ谷までの道のりの景色が一番きれい(←この見解はいまだに健在) なんじゃないかと思う。でも写真がなぜかないです。ネガ捨てちゃったのかな〜?
世界遺産のアイトベンハッドゥ、先にみててよかったかも。 これを最初にみてたら、ガッカリしたかもしれない。 くねる道、赤い土の地平線、青い青い空、 濃い緑のジャングルのむこうにカスバが広がる。 ハァ〜〜〜〜〜〜〜来て良かった。モロッコ(涙) これ、これよ!見たかったのは!こういうの見たかった。

約20分ほどのドライブを終え、ついたところは避暑地!ってかんじ。 澄んだ小川が流れ、視界に入りきれないほどの岩がそびえたつ峡谷がドーン。 岩と岩の切れ目からのぞく空。つめたーい風がびゅうっと吹く。 世界のロッククライマーが練習しに来る場所でもあるらしい。 わたしら到着とともに、ケンちゃんもマウンテンバイクでちょうど到着。 トドラ谷自体はなんてことないように思える。でも道のりは最高にいい。
一度ぜひ原チャリでとばしてみたいもんだ。< 実際、ケンちゃんも「めちゃ眺めよかったでー。人もいいしな」 とウキウキ報告。わたしも体力さえあれば ぜひチャレンジしとうございました。(ウソ)

ホテルに戻ったら、インチキ民間療法のオヤジに 夕食を招待されているという。 わたしはとてもメシをくう元気がないので辞退して部屋で寝ることに。 でもクスクス用意してるらしい。いいな・・・家庭の味のクスクス〜。 その後、Mさんムスタファ夫妻までも食事に誘ってくれたのに、 あのオヤジが先だったので残念ながらいけなかったのが悔やまれる。 ありがとうMさん。くまけんを送った後は、泥のように眠った。 なんで、毎日こんなに濃度の高い一日なんだ・・・。

と、ここで本日閉店〜ではない。まだあるのよ、まだ。 20:30に出かけていったくまけんが帰ってきたのは23:00。 どうだった?と聞くと やはり絨毯をすすめられたが買わなかったとのこと。 そうだよねえー。親切にはそれなりに理由があるもんね。そうそう。 と、そこにホテルのかわゆい男の子、ジャニーズ系のキンタロウ(本名しらない)が 現われ、「日本人がいるよ」と教えてくれる。 そう、実はこのホテルに、マラケシュから車をチャーターして モロッコを旅している男性がいると聞いていたので、 姑息なきあくまけんのトリオザ・パンチョスは、 「あわよくば、その車に乗せてもらおうよ・・・」とゆっていたのだ。 しめしめ。

キンタロウはその後日本人女性と結婚し、なんと
私の地元に住んでいます…実家から歩いて会える
屋上であったその人はAくん。 ドライバー付き2000DH(3万円)でモロッコを回ってるという。
「なんかもう高いのか安いのかわかんないんですよ…モロッコ人ってどうも信用できないですよね。ホテル代や食事代は別なのかもはっきりしなくて」
とAくんは肩を落としていた。ドライバーと相性がよくないようだ。

余談だが、この旅で何よりも使った英語はインクルード(〜込み)。 「朝食込みの値段」「ガイド込み」とかに使う。 とにかく使う。確かめないとバカみたいにお金を請求される。 Aんはパリに1ヵ月半住んで、そのままモロッコへやって来た。その後ギリシャへ飛んで帰国とのこと。 彼はかなり、モロッコ&モロキャンに不信感を抱きつつあるようだったが 翌日、それが爆発しようとはつゆしらず・・・・・・。
「もしよかったら一緒にお願いしたいんですが・・・」
「もちろんいいですよ、なあ、ドリス」

Aさんはドライバーに話しかけた。 あやしげなモロキャン、ドリスもノープロブレム。 (こいつはほんとうにクセものなのが、明日あきらかにされる) やったね!!これで砂漠までの足は確保できた。 明日はとうとう灼熱の地へ。 明日から4人旅です。旅は道連れ、楽しくいきましょ(←THEお調子もの)。
そうと決まれば、はやく体調をなおすべくそうそうにベッドへもぐりこむのであった。 ちなみに、今日食べたものはバナナ二本。 体力つけなきゃなあー。ハァ。


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