![]() モロッコ大騒ぎ編 1998年9月2日(水)メルズーガ〜エルラシディア 寒い!すごい寒い!!! 砂漠の寒暖差の噂は聞いていたけど信じられない! 昨日はあんな灼熱地獄だったのに! 砂除けのウィンドブレーカを着込み 砂漠のサンライズを楽しむために、 また宿から歩いて15分ほどの砂丘のてっぺんを目指す。 砂漠にはわけのわからん足跡がいっぱいだ!!!
そのころラクダ野宿ツアーから帰ってきた 世界各国の観光客やガイドがうようよと ロビーにひしめきはじめ、朝食を楽しんでる。へえ・・・いろんな国から こんなにたくさんのひとが来てたのね。知らなかった。 エールフランスのスチュワードもいて、 3週間のオフをモロッコで楽しんでると話してくれた。 うお!いいなーいいなー3週間もバカンスできるの?さすがバカンス大国! 私たちは、これから一刻も早く(?)砂漠から脱出するために、 この近辺のイチバン主要になる町、 エルラシディアまで出るために、 ドライバーを探さなければいけない。誰か〜いませんかね〜。 すると、そこに真っ黒に日焼けしたガタイのいい日本人男性。 Wさんは、昨夜ひとりでこのラクダツアーに参加したとのこと。 モロッコ大好きというリピーターの方だ。その話を聞き 「すごいね・・・この(キッツイ)国のリピーターなんて…」 と、尊敬と羨望のまなざしで見つめるのであった。 いい出逢いをしたんだね。羨ましい。 彼が、もうすぐエルラシディアまで出るとのことで、 じゃあ一緒にということに。 ここで出会うのがドライバーのイスマイルだ。 きのう、そして今朝と、イスマイルは非常に紳士でおもしろくいいやつであった。 が、それは私たちがヤツのカモではなかったからであって、 今は違う・・・・。 エルラシディアまでの金額の交渉になると明らかに表情がかわる。 目はアラブ人独特のギラリとした輝きを帯び、表情は厳しい。 彼は、いま観光客からいかにもうけを得られるか勝負の 商売人モードに突入なのだ。 どんなに交渉してもまるでとりあわない。そう、彼らはわかってるから。 「俺の言い値がイヤなら乗るな。その代わり砂漠から永遠に出れないぞ」と・・・。 もう、いいかげん、この閉鎖的な雰囲気の宿から逃れたくて払うことにする。 (ただし、宿のオーナーはいいやつだった。明朗会計だったし) ケンちゃんの具合もかなり悪いようで、 いつも温和な仔犬の雰囲気を醸し出している彼が、 非常にけわしい。ウーム・・・ これははやく涼しい環境にいかねばならんな。 しかしふつうのセダンに7人はキツイでしょ。 ドライバーのイスマイル、能天気なガイドとWさんが前に。 ちょっとパワーダウン気味の4人組は後ろにぎゅう〜〜〜。 ラッシュの山手線を想像してください。 (あたしはは乗ったことないけど) しかし、さすがイスマイルの運転はうまい。 ハンドルを小刻みに動かすのが、砂漠を運転するコツらしい。 スイスイと進む。さらば砂漠よ!いい夢みさしてもらったぜ! ボールペン大好きなベルベルの青年。普通の紅茶ごちそうさまでした 途中、おキマリのように寄った ベルベル人家族のテントでティーをふるまわる。 ここのはミントが入ってないのでおいしかった! いや、えっとー・・・ミントティー、最後までダメでした。ホント。トホホ。 ここでくまが化石を購入。粘って交渉したあげく、 切り札の日本製ボールペンをだしたら、ベルベルの青年は 「あちゃーマイッタ、ほしいぜ!」という何ともいえない顔をしたのがウケた。 ○○株式会社とか日本語がついてるとさらにいいらしい。 メルズーガを出発して約2時間でエルラシディアへ到着。 さっそく、フェズ行きのバスの時刻を調べよう! その時であった。 「俺、ここから別行動するかもしれないから今買うのよすわ」とケンちゃん。 初日の電車から常にトリオザ・パンチョスのメンバー(?) として過ごしてきた彼は、 なかなか頼りになる青年であった。 旅の価値観も合うし、お互い自然・自由に過ごせた。 ただ、無意識のうちに頼っていた部分もあったような気もする・・・ そう、ここできあくまとケンちゃんは、本来の旅の姿、 おんなふたり旅と学生一人旅に戻るだけなのだ。本来は砂漠ツアーシェアが目的だったのでこれでいいのだ。 きあくまAくんは、なにも見所のないエルラシディアに いても仕方ないので、古都・フェズを目指すために、 メクネス行きのチケットを購入。 しかし、時間は夜22:00出発だという。あちゃー。 12時間近くもこの街でなにすりゃいいの? そこで、またイスマイルのご登場ナリ〜〜〜! 「時間まで俺が付き合おう。ただしこっちも仕事だからお金はもらう」 ・・・・・22:00までこの街で時間潰しはキツイ。 エルラシディアに見所は皆無といってもよい。 「天然の泉がある。そこに連れて行こう。そして家にきて飯をくおう」 ん?メシ?腹が減り減りの仔羊ちゃん4人組には甘い甘い言葉だ。 「もう、いっちゃおうか。こいつのうちにも興味あるしね・・・」
そこには、ふたりのシスターだというマダムとその子ども達が遊びにきていた。 うわーい、コドモだ!!もうアラブ商人の濃さにあてらてた〜せめて子どもとピュアな心で遊びたい〜(泣)。 「へんなおじさん」と「糸まきまき」を教えたら大喜びだ! Wさんが別れ際に 「イスマイルは楽器がすごくうまいよ」と言っていたが、 その甥っ子たちもかなりうまかった。 イスマイルはシタールのような楽器をとりだし、 甥っ子と演奏をはじめる。すごい!ウマイじゃん! イスマイルはそれからも、なぜか楽器をもつと別人のように 陶酔の世界に浸る。ウットリと目の焦点があわず、 真剣に楽器を弾くのだ。なんか妙におかしく、好感がもてた。 料理はマダムが作ってくれ、さっそく昼飯にありつく。 ・・・・・・「ウマイ!サイコウにうまい!!!」 本当にびっくりした!体調が完璧になり、食欲も戻ってきたからか、 いままでモロッコで食べたどんな料理よりもうまかった! もう奪い合うように食べたその料理の名前はケフタ。 トルコにキョフテという食べ物があるけど、 似てるかも。発音もどことなくにている。 いわゆる、トマトソースをからめたミートボール料理。 やはり家庭の味はサイコウよお!カンゲキ! くまも「ぜったいこのケフタとハリラを日本で作る!」とハリキル。
とにかくそれからはすごーーーく盛り上がった。 イスマイル&アシッドのうっとおしいところも忘れてしまうほど、楽しい時間だ。 アシッドはわざわざベルベルスタイルに着替えてくれ、 イスマイルは楽器を演奏してくれる。 みんなの名前をアラビア語で書いてくれたり、 ベルベル語を教えてくれたり。 お風呂はないけど、水あびならできるから、と親切に申し出てくれ サッパリもした。 わいのわいのと夜はふけ、出発1時間前 すっかりうちとけたその時、いきなり思い出したようにふたりの表情が変わった。 「なんかくれ」攻撃が始まったのだ。 それはケンちゃんのボールペンから、 くまのかぶっていた農作業用のむぎわら帽子、 Aくんのタバコにはじまり、 マダムのために口紅をくれ、Tシャツをくれ、 薬はもってないか?そのウチワもくれ。靴下は?サングラスくれ。 なんかくれ。とにかくくれ。 …。 ……。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・そうだね。よくしてくれたよ。ありがと。 でもそれは見返りのためなんだね。 なにかを得るために、親切にしてくれたんだよね。 ま、そりゃそうだね。 わかる。観光客相手の商売だもの。わかるよ。 でも、それならもっとビジネスライクにいこうよ。 その方が割り切れる。 こんな裏切られたような思いはたくさんだ!最初からお金をはらって、 この時間を素直に過ごしたほうがどんなに良かったか! まるで失恋した少女のような気持ちになった。 恋した人が実は既婚者だったような。 「タイムイズマネー」という言葉は、 モロキャンにとって「カインドイズマネー」だ。 もうモロキャンに、いや観光商売をしているアラブ人にタダで親切を期待しない。 たしかにそういう考えは甘かったんだ。 それなら最初からその「親切」にお金はらうから・・・ 中途半端に信頼させんなよこんちきしょう。(泣) ![]() 民族衣装でショータイム。商売からむのはしょうがないか… 結局、ケンちゃんはこのままイスマイルの お宅に泊まるとのこと。 もう、みんながいろいろプレゼントしたから大丈夫、 なにも取られやしないよね。 バスターミナルで、バスの発車を待つ。 「元気でな」「うん、写真おくるよ」「大阪いったら遊ぼうね」「メールする!」 3人でとりとめのない会話をする。イスマイルは静かに見守っている。 ざわざわと大勢のモロキャンに埋もれながら。さあ、もう時間だね。 バイバイ!ケンちゃん! これかのキミの旅路でも、 いい出逢いがありますように! マッサラーマ!インシャアラー! |