バンコク初心者編



プロローグ/5月15日〜16日/5月17日〜18日

1999年5月15日(土) バンコク

話は5月アタマにさかのぼる。その日の朝は、国際電話からはじまった。
「も、もしもしい、空手部のきあです。Tさん元気?」
わたしが所属していた空手同好会の先輩だった商社マンTさんはこの春からバンコク支社勤務。 家族を残して単身赴任中。寂しいらしいと噂を聞きつけ、ブータン帰りに、いっちょ陣中見舞いしたろ!てなわけで、連絡をとってみたわけだ。
「おお!15日からいるわけね。OKまかせろ。うまいもん食わしてやるけん」

バンコクでは他にもお楽しみがある。まずは旅サイトで仲良くなっていて、現在も旅を続けている 「かなめちゃん」と会うこと。
東南アジアをあちこち飛び回るため、バンコクを起点にしておりちょうど、私のバンコク滞在と重なるらしいのだ。さらにこのGWが終わった時期だというのにも関わらずバンコクにきている不届きな勤め人旅ネット友達のみなさんがいるということで、オフ会も兼ねることになっていた。
超タイ初心者の私にとってこんな恵まれた環境があるだろうかっ!かなめちゃんは「ヒマだから空港までいく」という嬉しいメールもくれたし鬼に金棒だ♪


果物売りのオバチャン。果物最高にうまい
デカいドンムアン空港での手続きを終え出て行くとすぐにかなめちゃんの姿が見えた。
ブータンからのフライトが45分ほど遅れたのでちょっと待ってたようだがかなめちゃんはそんなこと気にもせず、ニコニコだ。本当は帰りのリコンファームをしたかったのだが、探してみればアシアナのオフィスは、深夜からしかあかない。
しょうがない、街からデンワしよう。

お金を払い、電車に乗り込む。ブータンではお土産や日用品を買う以外にお金を使わなかったのでドキドキである。
車窓には、バラック小屋や椰子の木、まさに南の国という風景が流れていく。かなめちゃんとは、ネット上で長くつきあいがあっただけに初めての気がしない。
「宿どうする?」
「うーん、まずはかなめちゃんが泊まってるゲストハウスに1泊して、それからまた探そうかな」

かなめちゃんは、昼はどうせ外を動き回るだけだから部屋はいらない、眠るだけなら大部屋のマッサージルーム50Bのほうが涼しくて安いとすすめてくれる。ただ、この時点でわたしはカオサンにあまりよいイメージがなくてできれば違う地区に泊まりたいな〜と考えていた。

さてファランポーン駅につき、バス乗り場へ。しかし、そこはバス停もなにもない場所で。バイクタクシーのにいちゃんたちのたまり場みたいだ。
わあ〜、こんなん、ひとりで移動してたらゼッタイわからんわ。快適なエアコンバスで移動、おばちゃんが金属の筒をじゃらじゃら言わせながら近づいてくる。お金と引き換えにキップをもらいオシマイ。この金額もかなめちゃんがいなければわからない。ああ、かなめちゃんが神々しくヒトミに映るよ〜。


夜のカオサン。オフシーズンだからか人は少な目

1時間以上乗ってるであろうか。結構カオサンは遠いのか、バスが迂回しながら進むのもあるけど、渋滞もたいしたものだ。チャイナタウン、インド人街を抜け、きらびやかなワットポーの横をぬけ、白い塀のある細い道に入る。これまた、初心者じゃわからない場所で、ボタンを押して降りる。私はユニセフの青い看板を目印にして、それからひとりでも乗り降りできるようになった。寺の中を通り、小学校のわきを抜けると、カオサンだ。

ザックを預け、屋台の焼き鳥やシェイクをがぶがぶ。ビバ!ジャンクフード!
「・・・・・・・(震えながら)・・んまいっ!んま〜い!」
もうさいこっす!シェイクなんか氷も水もカットフルーツも 腹の弱い人が食えばイチコロなのかもしれないけど、止まらないこの食欲★さて、今夜はタイスキオフ会当日。着いたばかりで鼻血噴出寸前までアドレナリンにまみれた私に追い討ちをかけるような楽しい出来事ではあ〜りませんか。
おかげで、6:30集合の所を30分も遅刻遅刻。
それはなぜかというと。船で行ったからです。

ああ、船。なんとスバラシキ情緒的ナヒビキヨ・・・。地元のおじちゃんに地図をみせ、降りる場所を聞いてたらちゃんと船着き場前で教えてくれた。おじちゃんやっさし〜!笑顔で「コップンカ」と合掌をして別れた。

さて、合流するのは「Yしおかさん」「Yしおかさん彼女」「Jさん(hal)」「☆さん」の4人である。 それぞれにタイ色の濃いHPでお馴染みのメンツだ。はぢめまして〜!!


うわああ。煮えてる煮えてる!食べたい!

むかうはヤワラートの「テキサス」というタイスキ屋。ファミレス的な雰囲気で、地元の人も多いに食べている。
うわあ。ぷうううう〜〜ん。いい香り・・・。そこにYしおかさん、ドカンとなにかを机の上にだした。
味ぽん、ゆずぽんの瓶である
「うわあ〜うれしい〜」かなめちゃんは久々の 日本の味に触れられることにかなり嬉しそうである。
「パクチーもいいけど、これで食うとまたおいしいよ。 ただの海鮮鍋になっちゃうけどさ〜あははは」とYしおかさん。
いいえ!おいしいものならなんでも大歓迎うれしいザンス。 もちろん、お国料理、お国の味もキチンと食べます。がしかし。 わたしは旅先に「梅味おかき」を持参する日本食大好き少女。 カンパ〜〜イの声と同時にがつがつ食いはじめた。


タイ在住☆さんによる
「タイスキの正しい食べ方講座

初めてあったのに、そんなかんじが全然しない。はしも進む、会話もはずむ。ああ、にぎやか・・・。ブータンとまったく違う夜の過ごし方だよ。ほんと。
食った。とにかく食った、すごい食った。 かなめちゃんなんか汁までのこさず、まだ食ってる。
でも、私たちにはまだ目的がある。ヤワラートのえび食い
「げ!マジで食いにいくの!?」
半分呆れた顔をする一行とおわかれして あるいてすぐの道端に店をひらく、海鮮屋台へまっしぐらぁ〜〜!


「クン、ハーフキロ〜(えび、500g)」と、
えび食い師匠のYしおかさんに教えてもらったとおりに注文する。さすがにお腹も8分目(男衆でさえ腹いっぱいだったのに・・・・)なので500gでカンベンしといたろう。そう思い、注文した、が!おもったより少ない、つうか一匹がデカイ!! もう、ガツガツむしゃむしゃと食いつき、あっという間に平らげる。
「やっぱ1kg頼めばよかったかなあ…(しょんぼり)」
「そうねえ、また今度けさんが来たらこようよ」

と、ストロングストマックを持つおんなふたり、とっととバスを捕まえて カオサンに帰るのであった。


大きさを比べるためにハイライトでもおくべきでした。

カオサンに帰るや、かなめちゃんにまたもやうまいものを教えてもらう。いまだに恋しいロティである。ああ、なんで!なんでこんなに胃にはいるの?だって甘い物はベツバラ〜〜。
まずは鉄板にクレープをやく。そこに見事な包丁さばきできったバナナをおき、焼いてからチョコソース、コンデンスミルク、砂糖をこれでもか〜というぐらいかけて、一口台に切った世にもうまいデザートだ。
ああ、まじでやばい。単純なきあ選手、タイ飯にはまりそうっす。

結局今日は、Tさんに連絡することもなく、さっさとそのまま寝てしまった。疲れているのかなかなか寝付けず、となりの店のうるさい音楽をBGMになんかいろーんなこと考えた。
同じアジアでも、ひろいなあ〜〜・・・世界はひろい。汗をだらだらかきながら、ボーっといろんなこと考えたが結論はひとつ。
メシがうまいから、きっこここはいい国だ。
明日もたくさん食べよう。むにゃむにゃ。


■本日の出費
・電車(空港−ファランポーン)10B
・エアコンバス(ファランポーン−カオサン)8B
・シェイク 10B
・宿代 50B
・焼き鳥 5B×2本=10B
・テレホンカード 100B
・船(対岸まで)2B
・船(チャオプラヤエクスプレス)4B
・タイスキ ひとり250B
・えび&水 80B
・バス(ヤワラー〜カオサン)3.5B
・タバコ 43B
・ロティ 15B
・インターネット 79B







1999年5月16日(日) バンコク

ブータンでの健康的な毎日のおかげか、うつらうつらとしか寝てないのに6:00には目覚めてしまった。きつい・・・
ふとみると、夜はマッサージおばさんときあたちしか寝てなかったマッサージルームのマットがほとんど埋まっている。 しかも床にじかに寝てる輩までいる。な、なんで!?

シャワーを浴び、洗濯を終えてかなめちゃんと朝ご飯。カオサン裏通りのグリーンGH近くにはおいしい屋台がもりもりある。
目玉焼きと魚のムニエルっぽい朝食を食べながら、日本人旅行者のひとと少しお話をする。偶然に福岡在住の方で、ワットポーでマッサージ修行をしているという。地元で自分の整骨院をもってるらしくホンキですごい!

さて、今日は日曜日。お楽しみウィークエンドマーケット
ものすごい規模の市場で、洋服はもちろん、金魚から庭石までなんでも揃う週末のみ開かれる市場らしい。わくわく気分でマーケットへGO!

初心者のためのいきなりバス講座(1999年当時の路線)
■ファランポーン駅→カオサン(寺の裏)は「53番」のバス
■カオサン(宝くじ売場前乗り場)→マーケットは「44番」のバス
■カオサン(宝くじ売場前乗り場)→伊勢丹は「15番」のバス

この日から、Mちゃんという女の子と一緒になった。
彼女は1年間ニュージーランドにワーホリに行っててもうすぐ帰国なので、帰国前にぜひタイに来たかったというとても素直で明るい子だ。(しかもヒロスエに似たかわい子ちゃんだ。ウシシシ)
昨日までマッサージおばちゃんの里帰りにつきあってタイ東部のみしらぬ町に1週間滞在していたという肝っ玉を持つ。
彼女も、ウィークエンドマーケットにいこうと思ってたところだったというので、かなめちゃんと3人で出かけたわけだ。あのね。女同士で行くの、正解です。
「うわっ、これ可愛いなあ」
「あ、ほんとだ〜色違いで買って、値切ろうよう」

などのお買い物などにはやはり同性がいちばん。もし、カレシとかとこういうとこに来ても、つまらないかも。てなことで、かしまし3人娘、歩く歩く、見る見る、選ぶ選ぶ、がっ!あまりにも市場がデカすぎる・・・いま、自分はいったいどこなの、ワーッツ!?人は多いし、なにより暑い。動物をみたり洋服をみたり、アクセサリーを買ったり・・・4時間歩き回ったがゴールは見えず。ああ!もういっかい来て、ぜひ制覇したいよ〜
とても後ろ髪を引かれる思いだったが、今日はとっても暑い。・・・今日はこれくらいでカンベンしといたろ。アレ?そういえば雨季だよね?雨降りそうにない。とてもいい天気〜。


市場はこんな狭い道が続く。ぜったい2kmはあるかも?

さてお待ちかね、Tさんに電話だ。昨日購入しておいたカードをぐいっと公衆電話に差し込む。
「ハロー」
「あっ、Tさん?連絡遅くなりました。きあです」
「待っとったんよー。連絡ないけんおねえちゃんとデートしようかと。あははは」
「あはははじゃないっす!じゃあ今回はやめときますか?」
「今どこ?」
「カオサンってとこっす。民主記念塔だっけ?あのへんの近く」
「しらんなあ」
なんやかんやのやりとりのあと、今夜会うことになる。19:00に連絡するという約束で、一度電話をきった。がしかし!軟弱なわたしは疲れた体をもてあまし、ついおばちゃんたちのマッサージを2時間たっぷり受けてしまう。17:20からお願いしたので、2時間だと19:00過ぎちゃうわあ!まあ、マンペンラ〜〜イてことで、いいか。

マッサージを終え、あわててTさんに電話し、指定された場所へ急ぐ。「お友達つれておいでよ」という甘い言葉に、急遽かなめちゃんとミカちゃんを引っ張り出し、シーロムのアマリなんたらホテルのロビーへとむかう。伊勢丹までバスで行き、それからタクシー(無駄遣いはだめだめ)。でももう、20時過ぎてるから早く行かなきゃ!あせあせあせあせ。


市場内でメシを食った。おばちゃんの味うまかったよ

「おおー。きあ〜〜」
「Tさーん。おひさしぶりです〜〜」

ひさびさに会うTさんは少し日焼けしたかなーくらいで全然変わってなかった。なんかうれしいねえ。
「おっしゃ、じゃあご要望のアヤシイとこにいくか」
わあ〜〜い!Tさんはまだ滞在2ヵ月というのに、すでにバンコクの道路をすいすいと運転していた。こっちにきてすぐに国際免許をとり3日間乗り回したらしい。
Tさんは若いころ(といってもまだ30歳半ばだけど)、3年ほど某国に留学していて、よく旅をしていたという。
「俺も当時、貧乏な旅の道中、いろんなひとに助けられてさ、 自分が助ける立場になったら、助けてあげようって思うんだよね」
という。そんなTさん、とっても頼り甲斐があるね。ステキ!もちろん今夜はすべてTさんのおごりだ!イエーイ

さて、ついたところはパッポンストリート
殿方の快楽・悦楽の吹きだまりのような歓楽街だ。しつこい客引き、呼び込み、きらびやかなネオン、賑やかな露天商。家田荘子のタイドキュメントなどを読んでいたわたし、昔からタイに偏見があったのは、そんな暗い情報のせいかもしれない。思ったより明るい雰囲気だなあっていうのが第一印象だ。もっとどろどろしてるのかと思った。歌舞伎町とたいしてかわんないじゃん。でも、働いている女の子にとってここはお金が降る天国か、体を売る地獄なのか。私にわかるわけもない。

ふらふらと歩く私たち、ふと客引きから差し出されたショーメニューの中にスゴイものを発見し、そこに入ることにした。鏡張りの階段をあがり、二階へ。ん〜二階って妖しそうだよねー。まあTさんがいいならいいですけど★。そこには真ん中にドーーンとステージがあり、
まわりをひな壇になった客席が囲む。ロープのないボクシング会場みたいだ。舞台にはロープがないかわりに、四隅に金属のポールが立っている。なんじゃこりゃ?うおおおっ!ステージにはおっぱい丸見えのおねえちゃんがやる気なさそうに、ポールをつかんで踊っていた。
いえいえ、わかってますよ、こういうお店だということは。でも目の前でみるとドキドキしますね。ハイ・・・。


ゴーゴーバー「クィーンズキャッスル」の見取り図

ビールを一人1本(90B)注文し、目の前のステージを観る。周りにはひとりで来てる白人。5人の団体白人。白人カップル2組。そしてわたしたち。これだけである。

初心者のためのいきなりゴーゴーバー講座
■宿が一緒の女の子などと一緒に、団体で行く。
 (客に女の子が混じっていれば、店の子がこないので
  「コーラ頼んでもいい?」などの追加注文をされずにすむ)
■触ったらお金とられます。触りたいなら仕方ないけど・・・
■ひとりで行ったらまずやばいでしょう。

やかましいユーロ系音楽とともに、ビキニパンツにロングブーツというとってもシュールないでたちのおねえちゃんたちが踊るおどるぅ〜〜。ワタクシ、どうしたらいいんでしょ(笑)。と、そのとき、きれいなおねえちゃんのなかに、アラ?あなたはなにもの?という感じのちょっと太めでちょっとかわいくない感じの子が出て来た。そしてなにやらゴゾゴゾと・・・・
ああっ!こういうことでしたか!!




なんといいますか・・・。ほんと、えっと、言葉になりません。
ともかく一度行ってみてはいかがでしょう? ああ、こういうアジアの遊び方があるんだなあという経験値 として胸に刻むのもよろしいかと。 生卵の他に、ゴルフボール5個、5mはあるヒモに旗がついてるものが。 さらにラッパをふいたり、吹き矢で風船的当てをしたり。 ま、くわしくは説明しませんが、ご想像におまかせ。
チップもあげられないわたしは、思いきり拍手をして 「ブラボー!」というしかなかったです。 おねえちゃん、こっちむいてニッコリしてくれた。



その後ぼんやりした頭のままいったラーメン屋の客は、日本人のおじさんばかり。 ドラマみたいなオヤジの会話を小耳にはさんで笑いそうになる。
「いやあ〜バイアグラはやっぱり××」
「がっはは、わたしなんかマッサージだけで××××」
「××さん、まだお若いですなあ、うわははは」
Tさんは、こそこそっとみんなに耳打ちした。
「駐在ってね、これしか楽しみがないの。 あの人たち、ゴルフ帰りだね。お客さんの接待して 日本人街で飲んで、女買って。全員そうとはいわないけど」
苦笑いしていたTさん。
自分のこと言ってるのかな。でもTさんはちょっと違うじゃん。 Tさんの留学時代の話を聞きながら食べた ラーメンは本当においしかった。

その後は、ルンピニ公園横のいいかんじのジャズバーへ。Tさんが一番おちつく場所らしく、みんなでカクテルを飲みながら生のライブを楽しむ。うおお。なんかハイソな遊び方してない?ここで、またまたおつかいを頼まれていた写真をわたす役目を果たす。空手部のTさん送別会の写真だ。写真をみながらTさんはしんみり。
「・・・地元に帰りたいな」

Tさん、がんばってください。
わたしも、空手部のみんなも応援してる。
とても、とてもうれしい再会の夜だった。


■本日の出費
・屋台で朝飯 50B
・バス(カオサン−市場) 3.5B
・オレンジジュース 15B
・水 8B
・ポシェット 70B
・ブレスレット(3本) 100B
・屋台で昼飯 25B
・エアコンバス(市場−カオサン) 8B
・インターネット 26B
・シェイク 10B
・タバコ 45B
・宿代 50B
・マッサージ(2時間) 260B
・バス(カオサン−伊勢丹) 3.5B
・タクシー(伊勢丹−アマリブルーバードホテル) 43B
(・夕方からすべてTさんのオゴリなのでゴーゴーバーの
金額もラーメンの値段も、ジャズバーの値段もわかりません)





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