テキストつらつら
イングランド再訪編
2005年2月


BACKロンドン&田舎ドライブNEXT


400年の歴史ある風車小屋の内部。お部屋も可愛い

ロンドン&田舎ドライブ

■ようやく出発、1日遅れの到着
出発前に、成田につとめる長年のスナフキン読者であり友だちであるYちゃんと、久々の再開&数十分ほど立ち話をする。前もって、日程を伝えていたのでもちろん昨日の事件(?)のことも知っていて、開口一番「ボロい機体でゴメンなさい〜」とあやまられる。なにいってんの!いいのよ、別にYちゃんが悪いわけではないじゃないの、ああいうことってよくあるんでしょ?なんて明るく言ってみるも
「ううん。飛ばないことはあっても、一度飛んでから故障で引き返すなんてそんなのあんまりないですよ。機長の判断が悪かったらヤバかったかも
と、トドメをさされる。白目の私。

スカスカの機内で存分に横になったり映画をみたりすること11時間半、ついにヒースローへ到着。たかが12日間の旅行では入国審査も厳しくないだろうとは思っていたけど(ヒースローの審査は厳しいことで有名)、思ったとおり楽勝スルー。キャッシュマシーンで数ポンド分ゲットしてすぐに地下鉄へ。ヒースローからはパディントン駅まで15分でいける特急があるのだが、それよりも地下鉄のほうが断然安いし、今日の目的地が地下鉄出口のすぐ前だったので、地下鉄へ。け、決して貧乏だからじゃなくてよ!信じて!

ホテルに到着し、レセプションで「今日、ミセス奉行さんと宿泊するきあと申します」と伝えて部屋に通していただく。
そう、今日は一足早くイギリス入りしているミセス奉行(ぶぎょう)(←お分かりでしょうが単なるあだ名。苗字じゃないよ)と合流なのである。3日ほど一緒の旅路を楽しむ予定なのだっ。
この旅路の実現は、お互いメールしている中で私が「イギリスに行こうかと思っているのだけど」と伝えると、「私もその時期イギリスの近くにいるんだよ」とのこと。なんと!そしたら一緒にしちゃう?みたいな、半ば勢いで決まった。奉行とは、5年近くネット上の交流はあるものの、実は会うのは初めてのこと。会える機会は何度かあったのだけど、すべてそのタイミングを逃していたのだ。

ハタからみたら間違いなくゲイカップルとみまごうような抱擁をかわし、あれこれと機関銃のように話がはじまる。本当に話ってはずむものですね、どこまではずめば気がすむのでしょう。 しかし、さすがに長時間フライトで疲れ果てていた私は食事の時からモウロウとなり、夜型の奉行と打って変わってもう21時くらいには目が回るほど眠くなっていた。ごめんよ奉行、今日は、今日は先に寝ます・・・22時にはすっかり夢の中なのであった。



9番乗り場からこの電車で出発〜!


■地図にない町
さて、翌日は電車で2時間の場所におでかけの予定。奉行、起きておきて。
どうもまわりの人間から「寝起きが悪いことと、道に迷うことは事前に言っておかないと!」とまで言われたらしく、気楽にあはは〜と思っていたけど、私がいままで同じ部屋に寝た人間の中の、ベストオブ寝起き悪子さんだった。
世の中の「あたしぃ、低血圧だからぁ、寝起き悪くってぇ」といっている女性に、この奉行のすがすがしいまでの寝起きの悪さを見せ付けたいね。ほんとに。
まあ、旅ツレの寝起きが悪くても、それはそれで自分の好き勝手なことをやるので私は全然かまわないのだけど、とにかく今日は電車に乗らなければならないので、なんとか起きていただく。(←なぜか丁寧)

今日&明日は、ロンドンの東側のノーフォークドライブ旅。正直、ノーフォークという地域はほとんど皆無といっていいほど情報がない。日本人旅行者の思い出系旅サイトを見てもこのエリアについての情報はなんにもない。地図をみると道さえもほとんどない、というないないづくしの空白地帯なのだ。なんでそんなとこ?といわれても、そこに行きたいからさ・・・とプレイボーイのような微笑を返すしかない。(ま、単にそっち方向に用事があっただけなんですけど)

まずはキングスクロス駅で、ハリーポッターの乗るホーム(なんだっけ?ホグワース行き?)をちょびっと横目でみて、電車に乗り込む。なかなか快適な英国鉄道。車窓はどんどん草原草原草原に染まっていく。うーん、本当にイギリスって土地余ってるなあ。あまってるわけじゃないけど。

見事にまわりになんにもない終着駅に到着し、レンタカーオフィスへ。自力でレンタカーを借りるのは初なのでドキドキしたけど、なんのこっちゃない、簡単簡単。日本の免許証と国外免許証を見ながらいろいろ情報が打ち込まれ終了。
さて、可愛いコンパクトカーに乗って目指すは海岸線沿いの道。方向感覚がないよ!と言っていた奉行は、なんとも素晴しいナビを披露してくれて、あまり迷うことなく目的地方向へすすんでいく。そうだよ!女二人寄れば百人力です。
車は日本車でしっかりしてる、田舎なので交通事情はすこぶるいいし、ラウンドアバウト(ロータリー)は自分の家の近所にあるので使い慣れているしで、道さえわかれば運転自体はしごく簡単。イギリス旅はレンタカー!とすすめられるのも判る気がする・・・。うん、いい調子。運転楽勝じゃ〜ん!

あの寝起きの怖い(?)午前中の奉行はどこへやらというように、元気で明るくて目をきらきらさせている彼女がいる。ミセス奉行はそこらへんにいる男より男らしい女性だ。なんというか、パワフルとかエネルギッシュという言葉は彼女のためにあるような気がする。テンションが高いわけではなく、とにかくひとつひとつに力がある。すごいレイディだ。
ふたりの話は終わらない。車の中でお互いぺちゃくちゃしゃべりまくりドライブ。


風車小屋の内部がBBなんて素敵でしょ?


可愛い家並み、草原、教会、馬に乗って買い物にきてる人。カントリーサイドのドライブは新鮮だ。
その夜は、ふたりで目をつけていたちょっと趣のあるBB(ベッド&ブレックファースト)に宿泊。なんたって17世紀に建てられた風車小屋の内部をリノベーションしたお宿という、素朴素敵系BBなのだ。この宿、HPはあるのにメールやFAXでの予約ができないという不便極まりない宿なのだけど、これまた恵まれていることに、英国在住のえりさんから電話で予約をいれてもらっていた(正確に言うとえりだんながアポを取ってくれた。ありがとう!)ので、問題なく予約できていた。しかしここの村はかなり詳細地図にならないと村の名前がでてこない。その詳細地図をみても「海の隣」という地名でそのまんまやんかとつっこみたくなる。
ここで地名をかかないのは、私がいじわるなので、いい場所なのでナイショにしておきたいからなだけです。

夜は、近くのパブ(イギリスの居酒屋)に足を運んで海産物に舌鼓を打つ。海の側なので、シーフードがおいしい場所らしいのだ。奉行とはずっと無言の時間がないくらいお互いしゃべりつづけているが、やはりまだ時差ぼけと運転疲れの取れない私は、宿に帰ってもさっさと寝てしまうていたらくぶり。とっても素敵な暖炉のサロンがあるというのに・・・奉行はその夜、ひとりでありったけの薪を燃やして遊んだ暖炉を楽しんだそうだ。この夜から彼女は暖炉奉行の肩書きとなる。私の中だけで。
いやしかし本当すいません、体力なくて・・・私の旅先のリズムは早寝早起き。むにゃー


本場?のヨークシャーテリアは豪快に外飼い(よく吠える)


■田舎ドライブ、おしゃべり三昧。
今朝もムダに早起き。まだ薄暗い宿の周辺をひとりで散歩しながら、キーンとつめたい空気に浸る。このあたりは湿地帯でそのまま海につながっていて、目線の先にはなんにもない。地平線なのか水平線なのかわからない不思議な雰囲気が漂っている。美しい・・・。

フルイングリッシュブレックファストに舌鼓を打った後、昼前に宿を出発。寄り道したりのろのろ運転をしながら景色を楽しんだり、存分に田舎ドライブを満喫する。ボキャブラリーが貧困で申し訳ないのだが、イギリスの田舎って、本当にもう、心がほっこりする。たぶんスイスとかドイツの田舎のほうがより異国情緒たっぷりで癒されムードがありそうなのだけど、このノーフォークのなんもない田舎っぷりは、これはこれで本当に錆びた体がきらきらになる感じ。なんだそりゃ。

そして、来る前から気になっていた寒さや天気についてなのだが、まったくもって恵まれている。温度は日本よりほのかに温かさを感じるくらいだし、晴天じゃないけど雨にはいまだ降られていない。晴れ女の実力か。(結局、この旅の間、傘を開くことはなかった。奇跡!)

さて、ドライブ途中のインでランチをいただいたのだけど、痩せ痩せの奉行ったらその細い体のどこにそんなに食べ物がおさまるのですか?と聞きたいほどに、よく食べる。言い方を変えれば、相当燃費が悪い!私はのまわりは本当に痩せ子が多いのだけど、そのほとんどが結構、いやかなり食べる人ばかり・・・うらやましい・・・。私は食べたら食べるだけ肉になるし、この旅日記でもしつこく書いているけど旅先ではいつもより3割くらい食欲がダウンするので(台湾みたいに食べる気マンマンの旅じゃない限り)、それをさっぴいたとしても、奉行の清清しい食べっぷりはすごい。私は心の中でスタンディングオベーションをおくった。


フルイングリッシュブレックファストを食べた1時間後に、
奉行はここでカニを食べようとした・・・恐怖!胃袋女!


今回、レンタカーはノーリッチに乗り捨てで予約。地図を見ながらハーツのオフィスを探す。ノーリッチは結構大きめの街っぽいのでちょっと緊張しながら運転していたら、まんまと迷う。奉行とあれこれ地図を見ながら「あっちにいってみよう」「こっち方面ならいいんじゃないかしら!?」と、眉毛をハチの字にしながら運転。うわー、まじでいまいる場所がわっかんないよ!反対側なんじゃないかしら、と路肩にストップし、Uターンしようとした瞬間、目の前にハーツの黄色い看板を発見。わー!あった!よかった見つかったよ!!奉行と顔を見合わせて喜ぶ。

ノーリッチから電車で2時間、すでに暗いロンドン市内に戻り、ホテルにチェックイン。その後、寿司!
しかし今回の1泊2日田舎ドライブにあたり、私たちは寝ている時以外、口を閉じていない気がする。車内、電車内、食事時、バーでしゃべってしゃべってしゃべりまくっていた。 今夜もあいかわらず20時くらいに睡魔がピークだったが、しゃべっているうちに眠気もふっとんで、その後ホテルのバーでずっと笑ったり悩んだりひそひそしたり、女旅らしい一夜になった。お互い「本当にあえてよかったね」「今度はバリとか一緒に行きたいね」とほんわかした。

長年スナフキン生活をご覧のみなさんは、私の占い好きはご存知であろう。ブータンで、インドで、台湾で占いしまくられの私。実生活でも1年に2度ほど、ある方に会っていろいろと指針を見出している状態だ。んで、久々にこの旅の前にお会いして、見ていただいていた。
いろんなことを相談した後、「そういえばロンドンで友だちと会うのですが、彼女とどのように接したらベストかしら」という、片思いに悩む女子高校生のようなことをなにげなく聞いていた。すると、彼は

「話を聞きなさい、とにかくじっと聞くこと、それがあなたにも彼女にも大切」

と即答していた。奉行には私なりの思い入れがあり、大きなのこころで接することができたらいいな、と思っていたのでそのアドバイスはドンピシャな気がしていた。なので今回、彼女と一緒にいる間、なるべくいろ〜んなことを話すだけじゃなく、彼女の話をじっくり聞いていこうとキモに命じていた。
・・・と、いうことをこの夜、奉行に話した。
すると奉行も「不思議だね、付き合いは長いけど初めてあったきあさんとこんなプライベートなことまで話したりするの、私もすごい不思議な気がする」とぽそっと言っていた。パワフルで強気でエネルギッシュなミセス奉行。彼女は年下だけど、年なんか感じさせないほどの強さの、その中にほんの少しだけ見せるはかなさみたいなところを、ぎゅっぎゅっと抱きしめてあげたくなる。
あっ、私、そのケはありませんからっ!人妻だし!心配しないでくださいっ!
ハタからみるとがんばりすぎなくらいの彼女だけど、そうやって仕事に夢中になっているのが奉行らしい。でもでも、働きすぎて体をこわさないでね、と親戚の叔母さん気分で私は応援するだけ。
ちなみに、今夜も私はさっさと25時前には寝たけれど、奉行は朝まで仕事をしていたそうだ。奉行、きみは1000%。輝いてるよ・・・まぶしいぜ。


冬のイギリスといえば・・・オイスター!!!


つづく。